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バイオマスプラスチックの正体とその歴史

地球温暖化ー人類に迫りくる危機

記憶にある人も多いと思いますが、2018年の夏は異常な猛暑でした。
今年令和の時代にも、14日午後0時17分、新潟県上越市で気温が40.0度に達しました。全国の観測地点で最高気温が40度に達したのは、令和になって初めてです。
これは危険な暑さと表現されました。
危険な暑さ・・・・ゾッとします。

ニュースでは「異常な」とか「記録的な」という言葉を頻繁に耳にしますが、2018年は本当に日本最高記録が出た夏でした。
1946年に統計が開始されて以降、日本で最も高い41,1℃が埼玉県熊谷市で記録されたのです。
日本のみならず、アメリカ・カリフォルニア州では52℃、北極圏では30℃を超える暑さとなりました。

このような地球温暖化、気候変動問題は地球規模で取り組むべき課題とされています。
加えて、昨今急速に注目されるようになった問題に、海洋プラスチックごみ問題があります。
もう一つの国だけの対策だけでは間に合わず、世界規模で何らかの対策を打たなければならない、そんな時代になりました。

この、地球温暖化とプラスチック問題が切っても切れない関係にあるのをご存じでしたか?
多くの方が知っておられると思います。

ひとりひとりの意識の変革はもちろん重要な事ですが、それだけではどうにもできない問題の根幹に日本政府がどのように取り組んでいるか、一連のトピックで特集していきたいと思います

現在生じている環境問題の現状と原因とは

どのような問題にも言えることですが、打開策を知るためには、まずは現状を把握しなければ始まりません。

なんとなくニュースで「地球温暖化」「プラスチック問題」という言葉を見聞きはしますが、具体的にどれほど危機的な状況なのでしょうか?

地球温暖化の現状

温暖化

温暖化の原因とされているのは、様ざま諸説ありますが原因の一つと言われているのが温室効果ガスです。
そのガスの中で1番の原因と考えられているのは二酸化炭素(CO2)濃度の上昇です。
そして二酸化炭素の大気中の濃度は、産業革命前280ppmだったものが現在380pmまで上昇しています。
このままでは2100年には500~1000ppm程度まで上昇すると予測されています。

この温室効果ガスの中の、二酸化炭素、メタン、さらにはフロン類などの温室効果ガスが地球から排出されると、その温室効果ガスは地球の熱を吸収して地球の内部に貯蔵することで地球の気温を上昇させるのです。
小学生のときに植物がCO2を吸収し、酸素を出すと習いました。
しかし現在排出される二酸化炭素(CO2)濃度が地球の植物が吸収し酸素にできる許容量をオーバーしていることもあり、年々二酸化炭素(CO2)濃度は上昇し、地球の気温は上昇しています。

人類は石油や石炭などの化石燃料を燃やしてエネルギーを取り出し、ここまでの経済発展を遂げてきましたが、その結果大気中のCO2濃度は、産業革命前に比べて40%も増加してきたということです。
それとともに、化石資源が急激な勢いで消費されることによる資源の枯渇が叫ばれています。

そして20世紀に発明されたプラスチックも、石油を元に作っていますので石油の消費や燃やすときにCO2を排出しますので、地球温暖化に拍車をかけているのです。

この地球温暖化現象の影響は以下の内容に出てきています。
例えば南極や北極の氷が溶けて、海面が上昇しています。そうすると 水没する地域が出てくるのです。
世界中で気候の変化 異常気象が生じています。それに伴い砂漠化・集中豪雨・暖冬などなども生じているのです。
さらに動物・植物の分布の移動という現象も同じです。
最近ニュースで夏にいた虫が少なくなったと言っていました。
たしかに気候が変動することにより動物・植物・昆虫などの生態にも影響が出ているのです。
そして農業地域の変化が生じています。
これは今まで栽培できたものが育たなくなりますし、逆に今まで育たなかったものが育つようになるということもあるようです。

いずれにしても、地球が大きく変化していっているのです。

海洋プラスチック問題の現状

研究者の推計によると、海に流れ込むプラスチックゴミは年間500万~1,300万トンにも及ぶそうです。

こうしたプラスチックごみは海を漂い、海洋生態系へ多くの影響を及ぼしています。
なんと海鳥の90%がポリ袋を誤飲しているという痛ましい統計もあります。

プラスチックは自然分解されないので、次第にマイクロプラスチックと呼ばれる小さな粒子となって海中に広がり沈降していきます。
日本でも、東京湾のイワシの80%からマイクロプラスチックが検出されていて、こうした食料資源の汚染は私たちの身近なところに迫っている危機といえます。

「でも、プラスチックはきちんと分別して捨てているからリサイクルされているのでは?」と思っている方は多いと思います。
しかし現実は、日本の廃プラスチックのリサイクル率は27.8%とかなり低いのです。(PETのみだからです)

そしてリサイクルされないプラスチックの容器包装の多くは、燃やして発電や熱利用に使われています。
それによってCO2が排出されるのです。

このようにプラスチックの大量消費によって人類は、化石資源の消費に伴う温暖化と海洋汚染という大きな問題に直面しています。

そこで今、CO2削減とプラスチックを減らすことが早急に求められているのです。

海洋汚染

【脱プラ】プラスチック製品って減らせるの?

環境のためにはプラスチックを使わない方が良い、ということは分かっていても、実際にプラスチック製品を減らすことは可能なのでしょうか?

考えてみれば、私たちの日常は使い捨てプラスチックに囲まれていて、その便利な暮らしに慣れています。
例えばちょっと飲み物を買おうと思っても、瓶よりペットボトルのほうが簡単に手に入ります。
テイクアウトのお店でランチを買ったらプラスチックのスプーンやフォークが入っていることを当然期待します。
もしプラスチックが全くなくなったら、飲食店や飲料メーカーのみならず、生活消耗品を提供している企業は大打撃を受け、経済は回らなくなるでしょう。
それにプラスチック製品はとても安いのです。
ですから脱プラをしたら不便でもあり、コストアップにもつながるのです。

しかし前述したように地球のことを考えると地球温暖化の食い止めは必須といえます。
そこで、まずは使い捨てプラスチックの使用を抑制しましょうという取り組みが世界中でなされています。

まずはプラスチック製品を抑制する方向

温暖化

使い捨てプラスチックを抑制する取り組みとして、EUでは2030年までに欧州市場のプラスチック梱包材を100%リサイクル可能なものにするなどの目標を掲げています。

日本においても、化石資源の代わりに再生可能な資源である「バイオマス」を活用しましょう、という方針が打ち出されました。
特に、再生可能資源から作られる「バイオマスプラスチック」の利用の拡大が、重要課題として提言されています。

2012年に発表された「バイオテクノロジー戦略大網」によれば、2010年代後半は、バイオマスプラスチック利用の飛躍的拡大が大きな政策目標になっています。

その背景には、日本は燃やす文化を持っており、その焼却設備は世界に誇れる設備だということもあります。
それは前日のリサイクル率の低さにも関係しているのですが、日本の焼却炉は世界に比べ非常に温度が高温になるため、ほとんどのものを燃やせるのです。
ですから日本では燃やす際のCO2を削減するバイオマスの方に一旦舵を切ったといえます。

さてさっきから何度も出てくる「バイオマスプラスチック」という言葉ですが、「バイオマス」とはいったい何なのでしょうか?

バイオマスって何?

バイオマスとは、バイオ(生物)とマス(量)が結びついた生態学の専門語です。
一般には「活用できる生物由来の再生可能な有機資源」と定義されています。

バイオマスが「再生可能な」といわれているのは、バイオマスは太陽と水と二酸化炭素があれば補給される植物や生物由来の資源で、しかも人間の利用速度以上に補給される天然資源だからです。
対して石油などの化石資源は、人間が利用すればその分減少し、増加速度も非常に遅いため次第に枯渇する資源と言えます(枯渇性資源)。

バイオマスプラスチック製品の登場

バイオマスプラスチックは新しい概念であり、未だ世界的に統一された定義はないようですが、簡単に言うと「バイオマスを原料として作られるプラスチック」のことを言います。
ブリタニカ国際大百科事典によると「微生物がつくるプラスチック」で1980年代にイギリスで製品化されたもののようです。

しかし歴史としてはもっと古く、1925年フランス・パスツール研究所で、枯草菌の体内物質としての脂肪族ポリエステルが発見されています。

そして「バイオマスニッポン総合戦略」ではバイオマスは以下の4つに分類されています。

①廃棄物系バイオマス:生ごみなどの食品廃棄物、家畜排せつ物、建築廃材、古紙等
②未利用バイオマス:もみ殻・稲わらなどの農産資源、貝殻など水産資源、林地残材等
③資源作物:トウモロコシ・米などのでんぷん資源、サトウキビなど糖質資源、なたね・大豆など油脂資源等
④新作物:バイオマス生産に適した海洋植物や、新遺伝子組み換え植物等

このような自然資源を原料とし作成されるものがバイオマスであり、現在バイオマスプラスチックとして供給されているものは、ポリ乳酸(PLA)、バイオポリウレタンなどがあります。

余談ですが、私が住む自治体の指定ゴミ袋には「バイオマスマーク」が描かれており「このポリ袋は、サトウキビを原料とした植物由来プラスチックを使用」と記載されていました。
意外と身近なところにあるものですね~

バイオマス
サトウキビ畑

バイオマスプラスチックの特徴

バイオマスプラスチックの特徴とはなんでしょうか。

まずなにより、原料が違います。
自然素材から作られているからです。

いつかなくなるかもしれない石油資源に全面的に依存しているわけではないので、安定した供給が見込めると言えそうです。
またバイオマスはもともと、大気中の二酸化炭素を植物が光合成により固定したものなので、焼却により二酸化炭素が発生してもそれは植物による吸収と資源活用のサイクルの一端であり、実質的にはCO2増加には繋がりません。
ですから安心して燃焼し、電気や熱発生のために再利用することができます。

他にも、熱を加えて形成加工しリサイクルすることもできます。
ダイオキシンも発生しません。こうして温室効果ガス上昇を抑えることへと繋がります。

他にも、全てではありませんが、バイオマスプラスチックの中には「生分解性」を持つ、つまり自然界の微生物によって水と二酸化炭素に分解されやすい性質を持つものもあります。

またも新しい単語が出てきましたね。
実はマイクロプラスチック対策として最近「生分解性プラスチック」というものも注目されているのです。

ではバイオマスプラスチックと生分解性プラスチック、どう違うのでしょうか?
以下に記載します。

バイオマスプラスチックと生分解性プラスチックの違いとは

バイオマスプラスチック 生分解性プラスチック
出典:日本有機資源協会

生分解性プラスチックとは、「使用後、自然環境中で加水分解して分子量が低下した後、微生物や酵素により分解し、最終的に水と二酸化炭素に分解される(=生分解性)プラスチック」の総称のことです。
通称「グリーンプラ」とも呼ばれています。

バイオマスプラスチックは、原料が再生可能な有機資源を使用しているのに対し、原料は何であれ自然界に分解する性質を持つのが生分解性プラスチック(グリーンプラ)ということになります。

ですから、バイオマスプラスチックでも、生分解性プラスチックとして分解されるものもあれば、されないものもあります。
生分解性プラスチックでも、石油系プラスチックのものもあれば、原料がバイオマスのものもあります。

再生可能資源を使うのか、最後に分解される性質を利用するのか、という全く異なった概念を持つバイオマスプラスチックとグリーンプラスチック。
いずれも地球温暖化対策とCO2削減、地球資源の枯渇対策を目的に開発され、認証マークが制定されています。

バイオマスプラの歴史ーまとめ

便利な使い捨てプラスチック製品は生活に欠かせないものですが、これからは地球に優しい「バイオマスプラマーク」や「グリーンプラマーク」の付された製品が常識となる時代も遠くなさそうです。

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