軽減税率導入後、中食市場の動向はどうなるの?!
ずっと先伸ばしにされてきた増税が、いよいよ施行されました。
消費税が10%に引き上げられるというのは一般家庭にとって大変なことですが、経営者にとっても死活問題です。
このピンチの当面の対策の1つとして、政府は軽減税率制度を導入したわけですが、これにより外食するのか持ち帰るのか(テイクアウト)によって税率が変わることになりました。
(そもそも軽減税率って何?という素朴な疑問については、今後を生き残る! 軽減税率が飲食店に与える影響をご覧ください。
それに伴い、外食産業より中食需要の拡大が予想されましたが、現実はどうなっているのでしょうか?
軽減税率がスタートしてからの中食市場の動向と、今後の方向性をこのコンテンツでは取り上げます。
飲食業界のこれまでとこれから
軽減税率の導入からすでに3カ月以上が経過しています。
結論から言いますと、予測通り中食市場が増大しています。
もともと増税前から、共働き世帯の増加などにより、弁当や総菜を買って帰って自宅で食べるという中食の需要は拡大していました。
中食市場は、2007年から2016年までの10年間で、23.8%もの目覚ましい成長を遂げた市場です。
それが10月の増税後、軽減税率が適用されたことにより、中食市場の伸びが加速している状況です。
11月1日にオープンした「渋谷スクランブルスクエア」は、この流れを反映していると言えるかもしれません。
駅直結でオフィスワーカーが立ち寄りやすい立地のこの施設では、テイクアウトできるお惣菜や弁当が充実しており、これまで外食のみで売り出してきた有名店が新業態となるテイクアウト専門店としてオープンしたりしています。
これらは軽減税率対象である中食のニーズがさらに高まっているということを反映しています。
では今後もこの流れ、中食市場の拡大、テイクアウト市場の拡大は続くのでしょうか?
中食市場の今後
どうやら今後も、この中食市場は拡大していくと予想されています。
これに伴い、外食大手企業も中食サービス強化の動きを見せています。
そもそも「中食」という言葉は調理されたものを自宅で食べるということですから、テイクアウトに限らず宅配デリバリーサービスも含まれます。
大手コーヒーチェーン店であるスターバックスジャパン(株)は2018年からUber Eats(ウーバーイーツ)によるデリバリーを導入し、今後さらにサービスを拡大する見込みです。
すかいらーくホールディングス(株)は、ガストやバーミヤンなどで宅配事業の強化を図っています。
ガストではピザを全面リニューアルし、温め直しても美味しいピザ生地の開発をするなど中食需要に力を入れていることが分かります。
その他惣菜専門店や食品スーパー、コンビニなどのすでに中食を確立してきた店舗も、中食人気の追い風に乗った躍進を狙って新たな商品やサービスを打ち出しています。
今や外食チェーン店も今後伸びるであろう中食市場に参入しつつあるのです。
当然といえば当然ですよね。
中食の拡大-世の中の傾向の裏付け
しかしこの中食拡大は、軽減税率導入による一時的なブームなのでは…?と考える人もいます。
確かに軽減税率導入が中食へのシフトを後押ししたのは事実ですが、一般的な世の中の傾向も中食拡大を裏付けています。
そのうちのいくつかを考えてみましょう。
消費者の収入の伸びの鈍化・可処分所得の低下
政府の発表によれば、2012年12月から景気は緩やかに回復しています。
しかし実際には、物価の上昇に賃金の上昇が追いついていないため可処分所得は増えず、この回復は「実感なき景気回復」と呼ばれています。
可処分所得とは、給与やボーナスなどの個人所得から、税金や社会保険料などを差し引いた残りの手取り収入、つまり自由に使えるお金を指します。
この“自由に使えるお金”が伸びない状況が続いてきているわけですから、消費者は当然、1円でも安いものを買い求める低価格志向へと傾きます。
つまり世の中の消費者のデフレマインドは消えていませんし、今後も余程のことがない限り消えることはないのです。
しかしもう少し丁寧な言い方でいうと、この日本は格差社会となったということです。
株価は上がっていますので、株などを買う余裕のある人たちは豊かになりました。
しかしそうでない人たち、とくに日本のほとんどの人たちはサラリーマンなのでそのような人たちは、可処分所得が増えていないということになるのです。
こう考えると実感ですよね。
アメリカも日本より前にこのような格差社会になっています。
このような日本の経済的事情から、費用が高くつきやすい、外食を避ける傾向は以前から根強くあったわけです。
その上での今回の増税と軽減税率導入です。
これは外食離れが加速する状況を日本国は作ったといえます。
2018年12月に「ホットペッパーグルメ外食総研」が発表したアンケート調査結果によると、33.1%が消費増税後「飲食店で外食をする回数は減ると思う」と答えています。
このような経済事情を考慮すると、もともと控えていた外食がさらに減り、中食へと流れていくのは当然の結果と言えそうです。
日本人の核家族化・高齢化・女性の社会進出拡大など
そもそも「中食」という言葉は、内食(家庭内で調理から喫食までを行う)や外食(家庭外で調理から喫食までを行う)といった既存の食事形態と区別するため、80年代に新しく生まれた表現だと言われています。
この言葉が誕生した背景には、家族のあり方の変化、特に単身・核家族世帯数の増加と、女性の社会進出があったようです。
具体的な数字として総務省の発表によると、昭和30年には総数の3割に満たなかった女性雇用者数は、平成27年には43.9%に達しています
また日本は2007年に、65歳以上の人口の割合が全人口の21%を超え、超高齢社会に突入しました。
このような、社会やライフスタイルの変化により、家庭内での調理はますます減っています。
このように日本の核家族化、高齢化社会、女性の社会進出といった社会傾向が、増税のみならず、ライフスタイルや高齢化も内食離れを進ませ、調理してあるものを家で簡単に食べるという中食文化を助長している要因となっているのです。
飲食店の中食・テイクアウト進出は急務
いかがでしょうか。
このように軽減税率に加えて社会構造も中食へと傾いている今、外食店舗の経営者としてはこの逆風を生き残るべく、中食業界への進出は急務と言えそうです。
このようにテイクアウトは客席の数に関係なく混雑時でも売り上げを出すことができますし、店員接客のコストを抑えることができ有利です。
しかし自分のお店は個人飲食店だから・・・・中食など
こう思われていませんか?
個人の飲食店でもお料理を出しているのなら中食・テイクアウトの分野に進出は可能です!
いずれにしても、消費者が外食から中食へとシフトしている今、中食市場への参入は今後の店舗の成長に必要な投資となっています。
具体的にテイクアウトを始めるときの注意点などについては、今後のコンテンツで取り上げたいと思います。
木村容器では、テイクアウトやデリバリーに欠かせない容器包装、カトラリーなどを扱っております。
また、店舗で使う消耗品なども豊富に取り揃えております。
さらにこのような飲食店のマーケティング戦略などのアドバイスもしていますよ。
テイクアウトやデリバリーなどの新業態を検討している飲食店の方やコスト削減を考えている方は、是非の一度木村容器のパッケージコンシェルジュまでご相談ください。