変化する飲食業界
新型コロナウイルスの感染拡大によって、私たちの生活は今大きな影響を受けています。 中でも飲食店は大きな打撃を受けている業界の一つです。
飲食店は生活インフラとして、スーパーマーケットなどと同じく「社会生活を維持するうえで必要」という位置づけになりました。
しかし外出自粛要請により外出する人の数が激減しているので、売上は半減どころか9割減という飲食店も少なくありません。
そんな中、営業を続けるために広がっているのが「テイクアウト」やウーバーイーツなどをはじめとした「デリバリーサービス」です。
デリバリーサービスは「コロナ後」の日本でも伸びていくと予想されていますが、実はデリバリーサービスは昔から「出前」として日本に根付いていました。
そしてその出前は社会の変化と共に様々な変化を遂げてきました。
この記事では、デリバリーのもとである出前の始まりと、時代によるデリバリーサービスの変化を取り上げます。
出前の始まり
出前とは、調理された料理をお客様に届けることを言います。
出前が始まったのは江戸時代の中期と言われています。
今と違って電話などがない時代ですから、出前を頼むには前もってお店まで注文しに行かなくてはなりません。
ですから、催事など前もって決まっている日に出前を頼むことが多かったようです。
しかしそれとは違った形の出前もありました。
江戸の町では庶民を相手にうなぎや天ぷら、蕎麦や寿司などを天秤棒で担いで来て売る「振り売り」という商人がたくさんいました。
江戸の庶民が住んでいた長屋には、それぞれの部屋に台所がなかったので、家の近くに来た振り売りから総菜などを買っていたのです。
注文して届けてもらう出前とは少し違いますが、調理された食事を配達するという点では出前といえます。
これが出前の始まりです。
出前からデリバリーへ
電話が普及すると、注文を受けてから料理を作り配達に行くというスタイルが主流となり、職場の昼食や来客がある時の食事など様々な時に利用されてきました。
その後、1970年代にファミリーレストランやファストフードなどの外食市場が売上を伸ばす中、出前を利用する人は減少しました。
再び出前という形の需要が伸び始めたのきっかけは、1985年ごろに登場したアメリカスタイルの宅配ピザでした。
宅配ピザが日本に登場すると、料理を配達する出前という形のサービスは「デリバリー」という名前で注目されるようになりました。
今ではファミレスやファストフード、釜飯に中華まで、様々な料理が「デリバリー」されていますね。
出前とデリバリーの違いとは?
出前と同じ意味でデリバリーという言葉が用いられていますが、出前とデリバリーには違いはあるのでしょうか?
日本においてデリバリーという言葉が浸透したのは、1980年代に登場した宅配ピザの「ドミノ・ピザ」や「ピザーラ」がきっかけでした。
その特徴は飲食スペースを持たず、配達やテイクアウトが専門であるということです。
ですからはじめは、デリバリーと言えば店内では料理を提供せず、料理の配達を専門にしているお店に用いられていましたが、現在はファミレスをはじめ、飲食店の出前にもデリバリーという単語が広く使用されるようになっています。
ここまでざっくりと出前とデリバリーの歴史を見てきましたが、現在デリバリーはさらに進化しています。
では次に、最近のデリバリー事情を見てみましょう。
デリバリー需要の拡大とデリバリーのIT化
近年、専業主婦の減少や単身世代の増加、高齢化などにより、家で手作りして食べる「内食」が減少しています。
逆に需要が高まっているのが。テイクアウトやデリバリーです。
特に2019年10月から消費税増税が始まり、軽減税率の対象ではない外食よりものデリバリーを選ぶ人が増えているのです。
そして今年は新型コロナウィルスの流行により、デリバリーの需要はますます大きくなっています。
このような状況の中で、日本のデリバリー業界は変化してきました。
一つには、デリバリー営業のみを行うデリバリー専門店が増えたことです。
飲食店がデリバリーを行う場合、店内を切り盛りする従業員に加えて、配達に行く従業員や配達のための車両も準備しなくてはなりません。
そうなると余分の人件費や混雑する時間のサービスの低下などが生じてしまいます。
しかし、デリバリー専門店なら店内の接客サービスがない分店員の人数が少なくて済みますし、注文が殺到する日もデリバリーの注文に集中することができます。
もう一つの変化が、デリバリーのIT化です。
デリバリーのIT化とは?
昔は電話注文が一般的だったデリバリーですが、今ではインターネットやスマホのアプリを使って注文するスタイルが一般的になっています。
時代の流れとともに、電話でお店の店員とやり取りをするよりも、アプリを使って注文する方が気楽だ、という人が多くなっています。
ですからこのような消費者の心理を考えると、アプリを利用した注文ができる飲食店のほうが有利になってきます。
こうしたフードデリバリーアプリには以下のようなものがあります。
- デリバリーサービスを行っているお店が独自に運営する注文アプリ
- デリバリーサービスを行っているお店の情報を集めたサイト
- デリバリー代行業者のアプリ
この中で今特に利用者が増加しているのが、③のデリバリー代行業者のアプリです。
飲食店がこのシステムに登録すると、配達という業務を外注できるので、自分のお店では配達を行えない飲食店であっても、デリバリーサービスに対応することができます。
飲食店がデリバリーサービスを始めるメリットについてはデリバリーサービスを始めよう!デリバリーで売上アップ!?をご覧ください。
また、たくさんの人が利用するアプリなら、立地条件が良くない、名前が知られていない、という飲食店も、たくさんの人にお店を知ってもらえるという集客効果があるのでお勧めです。
このようにメリットがたくさんあるデリバリー代行業者ですが、数あるデリバリー代行業者の中からいくつかを簡単にご紹介します。
デリバリー代行業者の一例
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ウーバーイーツ(Uber Eats)
最低注文額がなく少量でも利用可能なところ人気です。
配達は個人事業主が自転車かバイク、徒歩で行います。若い人やインターネットサーフィン好きの層が多く利用しています。 -
楽天ぐるなびデリバリー
ネット通販の大手の楽天が運営しているとあって、認知度・信頼度共に高く、その強みを生かした集客の見込みがあります。楽天会員なら簡単に利用できてポイントも貯まる・使えるデリバリーサービスです。
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出前館
70,000 店舗以上利用可能。ファミレス、ラーメン、寿司、中華など、出前の定番となっているオーソドックスなチェーン店が中心。配達は店舗のスタッフか、出前館とアルバイト契約したスタッフ・出前館と業務委託契約をしたスタッフが行う。いずれも研修制度がある。
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LINEデリマ
LINEアプリから注文できる手軽さと、様々なキャンペーンによる割引が人気のサービスです。
LINEの機能を有効活用し、「友達追加でクーポンプレゼント!」などの宣伝も可能。 -
Finedine(ファインダイン)
宅配寿司「銀のさら」を運営している企業が展開するサービス。登録店舗数は他社に比べると少ないですが、クオリティの高い高級店が多く出店しているので、本物の美味しさを求める客層を集客することができます。
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dデリバリー(2021年6月30日でサービス終了)
NTTドコモが運営する宅配サービスです。出前館とも業務提携があり、登録店舗は出前館と同じです。ドコモユーザーはポイントでも支払える他、通話料とまとめて請求も可能です。ドコモ以外のユーザーもdアカウントを発行(無料)して利用できます。
まとめ
江戸時代から歴史が続くデリバリーですが、現代では家族のあり方や働き方の多様化、また感染症の流行などによって再び需要が大きくなっています。
またデリバリーのIT化が進み、多種多様な料理を誰でも簡単に注文できるようになっています。
しかし、時代や仕組みが変わってもお客様が求めているおいしい料理は変わりません。
出来立てでおいしく、きれいな盛り付けがされていることです。
そのためには、温かいものは温かく、冷たいものは冷たく、そして途中で形が崩れたりこぼれたりしない、内容物に適した容器選びが重要です。
木村容器㈱のパッケージコンシェルジュは、様々な料理に適したデリバリー容器やカトラリーを取り扱っております。
それぞれのお店の雰囲気に合ったものやエコ素材のものなど様々な容器包装を提案することができますので、どうぞご相談ください。