中食にも地域格差がある?!
突然ですが、みなさんは仕事やレジャーで疲れた日の夕食は「食べて帰ろう派」ですか?それとも「買って帰ろう派」ですか?
食べて帰った方が片付けも洗いものもなくて楽ですが、買って帰った方が安上がり・・・と悩む方も多いようです。
とくに消費税増税後、食のスタイルはますます変化を遂げてきています。
確かに増税前から中食市場は際立った成長を遂げていました。
それはこの10年間、経済政策としてアベノミクスが実施されていたとしても、生活必需品の値上がりは実施されていますが、消費者の可処分所得は一向に増えず、ますますデフレマインドが加速しているからだと思われます。
その消費者のデフレ意識が家計の節約意識を高め、中食需要の拡大を促していると考えられているのです。
そしてそれに拍車をかけたのが、2019年に実施された消費税の増税です。
その中で軽減税率の導入がなされ、外食=贅沢(必須ではない)に分類され、消費税が10%適用されることになりました。
そのため増税後は「食べて帰る」(外食)は10%の税率になるのに対して、「買って帰る」(中食)は8%という軽減税率が適用され、中食の伸びがさらに加速しているのです。
そのため飲食店を経営中あるいは開業検討中の方の中には、この中食(テイクアウト含む)に挑戦しようと思っている方も多いことでしょう。
しかし、この中食(テイクアウト)に参入する前に考えておかなければならいことがあるようです。
それは、中食の需要に地域格差があるということです。
この記事では、中食の地域格差にはどんな背景があるのか、地域に合わせた売り方をするためにはどうすればよいのかについて取り上げます。
地域格差―その背景にあるものは?
総務省の調査によると、全国的には中食の支出割合は右肩上がりの傾向にあります。
しかし、地域別で調べた研究によると、北海道や沖縄では相対的に支出額は低く、逆に東海、関東、近畿などの都市部では高いという結果が出ています。
このように、中食のニーズには地域格差があることが、データが明らかになっています。
【中食の地域格差】そもそもの中食需要増大の理由は?
以前の当社コンテンツ今後を予測!? 軽減税率で中食が拡大?!でも取り上げましたが、中食の伸びの背景には、単身世帯の増加や高齢者の増加などに加えて「女性の社会進出」があります。
一般的に、女性の労働力と中食拡大との間には相関関係があるとされており、データ上でもそのことは示されています。
この関係の理由は簡単で、女性が働きにでると時間のかかる家庭内調理が減るからです。
しかしこれは全国の平均的な調査行動に関するものであり、地域別に見ていくと、このデータに差があるようです。
女性の社会進出には地域格差がある
前述したように、東海、関東、近畿などの都市部では中食への支出額が相対的に高いことが分かっています。
そのことと女性の社会進出、雇用の関係を合わせて考えて見ると、都市部では全体的な求人数が多いことや、住宅を含め生活費が高いことなどから、女性の労働率が高い傾向にあります。
よく耳にする「保育園に落ちた」とか「待機児童」などの問題もこうした背景によって、都心部で起こっているのです。
しかし、地方でも中食比率が高い場所があるという研究結果も出ています。
地域ごとで見てみると、女性の労働率と中食比率では相関が無い地域もあるのです。
このことから、「働きに出る女性が多い=中食が伸びる」とは単純言えないことが分かります。
こう聞くと、「え?どういうこと?ある地域では夕飯を作らない気楽な主婦が多いの?」という声が聞こえてきそうです。
いえいえ、そういうことではありません。
たしかに名古屋近辺の方が喫茶店のモーニングにお金をかけるように、弁当・総菜文化が根付いている地域もありま
す。
しかし主な理由は、「働きに出る女性がどのような働き方をしているか」ということです。
またその地域にどのような習慣が根付いているのかという点が関係してきます。
【中食の地域格差】地域により女性の働き方は様ざま
働く女性と聞くと、テレビドラマなどに出てくるスーツにハイヒールでオフィスのエレベータに・・・なんて女性を想像しがちですが、実際そのような女性は日本全体でみると少数です。
都市部で働く女性は、職種も求人数も豊富で、派遣社員や正社員などが多いかもしれません。
派遣社員や正社員は9時から17時までの仕事を終えて帰宅する、という働き方が多いので、買い物や子どものお迎えの後に夕飯を作る時間が物理的に限られてきます。
そうなると、テイクアウトでお惣菜や弁当を利用する人が多くなり、当然ながら中食の需要は当然高まります。
それは家族の食生活を考えている主婦であったとしても、「もう一品」と考える際に中食を利用してしまうこともあるようです。
しかし、地方によっては、働き方は異なります。
田舎では求人は限られ、昼間の短時間のパートが多くなります。
そうなると、家に帰ってから夕飯を作る時間のある主婦が都心部よりは多くなります。
さらにご近所から野菜をもらえたりして素材は手に入り、調理する時間もあるとなると、調理済みのものを買う必要がなくなりますね。
一方、地方は地方でも、お昼ごはんを食べるため自宅に帰るというスタイルを取るエリアもあります。
田舎に住んでいるわたしの友人は、自宅から車で10分の職場で働いていますが、昼休みになるとスーパーで自分のお昼ごはん用のおかずと夕飯の材料を少し買い、自宅でお昼を済ませて夕飯の下ごしらえをしてからまた午後の仕事に向かっていました。
そのスーパーはお昼になると、ちょっとしたお惣菜争奪戦の戦場となるようです。
つまりこの地域は、夕飯は自分で作るものの、時間のない昼にテイクアウトの需要が生じているということになります。
【中食の地域格差】地域により生活習慣も様ざま
地域によって生活習慣も様々です。
たとえば前述した愛知県・岐阜県は外食が多くなるかもしれません。
朝から家族で喫茶店にいくという習慣があるようです。
また沖縄県などでも出前や中食などをよく活用するとして知られています。
これもまた地域に根付いた生活習慣かもしれません。
ですから一概に地方と都市部は違うとは言い切れませんが、押しなべていうのであれば中食の拡大にも地域差があるといえるのです。
飲食店は、地域に合わせた中食の戦略を
このような現実に基づいて考えていくと、女性の社会進出により中食需要は確かに高まってはいますが地域性をよく考えなければならないことは確かです。
女性の就業率という数字だけで考えず、その数字の背景をよく分析しておかなければなりません。
地域の働く女性が長時間勤務なのか短時間勤務なのか、都市部まで出て働いているのかそれとも地元での仕事なのか、はたまた自宅内業務や家族経営が多いのかなどの、女性の働くスタイルを把握する必要があります。
それを知ると、テイクアウト需要も見えてくるはずです。
さらには子どもがいて派遣・正社員率の高いエリアなら、ボリュームのある子どもウケするおかずが人気になるかもしれません。
ランチ用テイクアウト需要があるなら、短時間でサラッと流し込めるような商品のニーズが高まるでしょう。
こうした観察をしておくと、実際にテイクアウトを始める時の容器選びにも役立ちます。
例えば、家の近くでテイクアウトするのか、それとも自宅近くなのか、帰りは徒歩か自転車か、1-2人前か家族数人で食べるかなどにより、選ぶ容器や持ち帰りの際の袋も洗濯が異なってくるからです。
中食を始める前には様々なリサーチを行って情報を集めてみましょう。
まとめ
これからの飲食店はただ中食ブームに乗るだけでなく、地域特性を踏まえた店舗戦略を考え実施する必要があるようです
。
木村容器(株)は、経営戦略からあらゆる食品に適した容器の準備まで、幅広い経験を活かしたお手伝いをさせていただきます。
テイクアウト用の容器も豊富にご用意できますので、木村容器のパッケージコンシェルジュまでぜひご相談ください。