紙コップは、あったら便利!
でもわたしたち一般家庭にとって普段はなくても困らないけど、たまに必要になる商品です。
必要になる時というのは、例えばバーベキューをしよう!となった時や、大人数の来客がある時などです。
大勢の来客は嬉しいけれど、コップが足りない!
また子どもたちが多いので割れるのが心配・・・。
それで紙コップやプラスチックコップを選ぶこともあります。
最近は、相当格安な紙コップ以外、紙コップも進化しており、けっこう厚地のしっかりした作りになっていて、バーベキューをしながら2時間くらい使っていてもまだまだ余裕です。
そこで疑問が沸いてきます。
紙は防水性がないのに、どうして紙コップは長い時間液体を入れておいても平気なのでしょうか?
今回はわたしたちの頼れる紙コップの秘密を探ってみたいと思います。
紙コップに入れてはいけないものはありますか?
まずは、紙コップに入れると危ないものを紹介します。
誤ってそれを紙コップに入れると、中身が漏れ出る可能性もあるので注意しましょう。
それはなにでしょうか?
アルコール類・油性食品・薬品類です。
これらのものを紙コップに長時間入れては絶対洩れますのでご注意ください。
なぜならば紙コップの端の部分は浸透しやすくなっているため、アルコール類・油性食品・薬品を長時間入れていては中に入れているものが漏れやすいからです。
さらに上記3種類の液体は浸透率が高いため、長時間放置すると隙間から外部に漏れ出てしまいます。
ではなぜ長時間なのでしょうか?
すぐに漏れないのでしょうか?
紙コップから水が漏れない秘密に迫ってみたいと思います。
なぜ紙コップは漏れないのでしょうか?
漏れない紙コップの秘密
紙にどんな仕掛けをすると漏れない紙コップになるのでしょうか。
答えは「防水性のあるものでコーティングをする」が正解です。
以前の紙コップは、紙をコップの形に加工した後、防水性のあるパラフィンワックスをスプレーしてコーティングしていました。
パラフィンは石油を蒸留し精製して得られるもので、軟膏として使われるワセリンもパラフィンです。
ですから人体には無害なものです。
しかし!パラフィンにも欠点がありました。
それは融点が58~60℃と低いことです。
そのためその当時の紙コップは、ホット飲料には使うことができませんでした。
これを解決するために開発されたのが、耐熱温度の高いポリエチレンラミネートです。
新しい防水加工-ポリエチレン
はじめにポリエチレンとは何ぞや、ということから簡単に説明します。
簡単に言うとポリエチレンはたくさんあるプラスチックの種類の一つです。
ポリエチレンは炭素と水素からなる高分子で、体内に入っても害にならず、焼却しても二酸化炭素と水になるだけで有毒ガスが発生することもありません。
また吸水率が低いという性質があるため、防水性の求められるものに使用されています。
身近なところでは、豆腐やお肉などを買った時に入れる、薄くて透明の袋がそうです。
このように紙コップに使用されているポリエチレンは耐熱温度が110℃となっているので、
熱いものが入れられないという紙コップの悩みを解決する切り札になったのです。
熱湯を入れても大丈夫なの?
ポリエチレンって熱で溶けそうだけど、熱湯を入れても大丈夫なのでしょうか?という質問を時々見かけますが、
すでにご説明した通り、紙コップに使われているポリエチレンの耐熱温度は110℃ですから100℃の熱湯を入れても大丈夫です。
しかし油を含む食品を入れてレンジで加熱すると110℃以上に加熱されポリエチレンが溶けてしまいます。
仮にポリエチレンが溶け出しても、人体に害となることはなく体外に排出されますが、事故につながることもありますので電子レンジでの使用はやめましょう。
また、インターネットを調べると紙コップでカップケーキを作れるレシピが紹介されていますが、オーブンやオーブントースターは庫内が200℃近い高温になり、ポリエチレンが溶けだしたり紙が燃えたりする危険がありますから、こちらも使用は控えた方が無難です。
少しでも気になることは排除して、美味しくお菓子を食べたいですよね。
人間の体内に数多く蓄積されたら・・・・どんな影響があるのか分からないですからね。
紙コップは実際どうやって作るの?
ラミネート加工というと、名札とか診察券など平らな紙をラミネートするところしか想像できませんが、紙コップにはどうやってラミネートするのでしょう。
答えは、「一枚の紙の状態の時にラミネートし、それから型抜きをして成形する」です。
◆工程
・まず最初に、ポリエチレンのペレットを加熱して溶かし、厚さ20ミクロンのフィルムにして紙コップの素になる巻紙に貼り付けます。(一ミクロン=1/1000mm)
ポリエチレンのフィルムを張り付けた巻紙は、胴体を作る巻紙と、底の部分に加工される巻紙に別れます。
・胴体になる方は、印刷をする場合は最初に印刷をし、それから打ち抜きます。
打ち抜いた扇型の胴体は筒状にするために端の部分を熱してポリエチレンを溶かし金型に巻き付けて圧着させます。
これならしっかりくっついて漏れることはありませんね!
・底になる方は、原紙の巻紙を6センチ幅に切断し、円形に打ち抜きます、打ち抜いただけではただのメンコになってしまいます。
そこで、打ち抜きながら同時に絞り込んで、チップスターの蓋(他に例えるものが思いつかなくてすみません)のように、高さのある形に加工してしまうのです。
・こうして胴体とフタの二つのパーツができたら、底のパーツに胴体を巻き込んで圧着させ合体させます。
最後に大切なのが口が当たる部分です。
紙コップの飲み口をよく見ると、外側に丸まっていますよね。これを一般にカールといいます。
これは回転するツールで素早く外側に巻き込んで出来上がりです。
カールがあることで、カップをするっと落としてしまったり、飲み口から液体漏れするのを防いでくれます。
よく考えるとカールがなかったら引っ掛かりがないのでフタを付けることもできませんね。
興味のある方は「紙コップができるまで」という分かりやすい図をご覧ください。(最初からこちらを見れば済むのかもしれません)
紙コップが出来るまで (パックマート麻布店)
こちらで紹介されている紙コップの成形機械は、紙コップ国内シェアの50%を製造している東罐興業さんが自社で設計開発した特殊な機械です。
高いに技術により、品質の優れた紙コップが超高速で製造されています。
技術の日本ですね!
ちなみに日本製の紙コップと海外製の紙コップには違いはかなりあります。
よろしければこちらのコンテンツもご覧ください。
「もっと紙コップを使おう!紙コップの国産品!輸入品!違いはあるの?」
木村容器では東罐興業の代行店なので紙コップを多数扱っています。
ぜひご覧ください。