近年、大手製菓メーカーがパッケージ素材を紙へ切替えしたり、カフェチェーン店が紙ストローを導入したり、大手コンビニエンスストアが弁当容器に紙製どんぶり容器を全面的に採用するなど、紙製品を取り入れる企業が増え続けています。
個人的にはキットカットが大好きなのですが、そのパッケージが紙になったのは衝撃的でした。
現在、地球温暖化や海洋ゴミ問題の一つの要因であろうプラスチックごみによる環境破壊が世界中で問題視され、問題解決に向けさまざまな対策が進められています。
実際に各企業がエコ容器に対応するには知識や事前準備、コストなどの負担があります。
しかし、対応する事で得られるメリットも沢山あります。
このコンテンツでは今注目されているエコな紙容器に関して特集をしてみたいと思います。
プラスチックはなぜいけないの?
プラスチックは耐久性があり便利なうえ、低コスト、大量生産できるので、世界中で毎年4億トン、日本国内では1200万トンも生産されています。
しかし近年、脱プラスチックやプラスチック削減というワードを耳にする機会が増えてきました。
世界ではSDGsの採択やサミットの開催でプラスチック問題について議論され、特にレジ袋やプラスチックストロー、使い捨てプラスチック容器は世界中で有料化、製造・販売禁止などの対策が進められています。
なぜそのように世界は進んでいるのでしょうか
プラスチックごみが問題になっている
画像をご覧ください。
これは海洋ゴミの現状です。
プラスチックの使用量が増え続けた結果、適切に処理されず、このように環境へ流出してしまうプラスチックごみ問題が起きています。
中でも海洋プラスチックごみ問題は特に深刻で、年間800万トンものごみが河川を経由して海に流れており、現在、1.5億トンのプラスチックごみが海中に蓄積されていると言われています。
その海洋ごみによってアザラシやウミガメ、海鳥など700種もの生物が傷つけられ、亡くなっており、その原因となるごみの92%をプラスチックごみが占めているのです。
なぜそれにわたしたちが関係するのでしょうか。
日本は全世界でプラスチック生産量が第3位、使用量はアメリカに次いで第2位であり、この問題に対して国際的責任が求められているのです。
そこで注目されているのがエコな紙容器です。
エコ容器は低コスト大量生産のプラスチック容器に比べ、クラフト紙や木材、天然素材などを使用しており、材質の特徴をそのまま表現できるため、ナチュラルな雰囲気を出すことができます。
その印象が商品によってはオシャレにもつながります。
またお店や料理のテイストに合わせて材質だけでなく、数多くの形状から容器を選ぶこともできます。
そのようなエコな容器の中でもとりわけ注目されているのが紙の容器なのです。
今話題の紙容器とは
ではその注目されている紙容器とはどのようなものをいうのでしょうか。
現在紙容器として使われているものは、純パルプ製の容器や食器などに、ワックスやプラスチックフィルム加工などを施し、水分が漏れないようにしたものを紙容器と言います。
これら紙容器は、今や私たちの生活にとって無くてはならないほどのものとなり、さまざまな形態で私たちの生活環境の中に溶け込んでいます。
それら紙容器はどのような経緯で私たちの生活環境に溶け込んでいったのでしょうか。
紙容器の意外な側面
人類と紙の出会いは、古代エジプトのパピルスに始まることはよく知られており、紙は古くから人類の生活にとって無くてはならないほど密接な関係のある資材です。
今日にいたっても、紙が商品の包装資材として広く利用されていることは周知の事実ですが、
意外なことに、固体や液体食品の包装容器として、紙容器が使用され始めたのは最近のことであることはあまり知られていません。
紙容器の始まり
飲料水用紙容器の歴史の始まりは、1940年頃にアメリカのエキセロ社が開発した屋根型のものと言われています。
その後、1951年にスウェーデンのテトラパック社が、四面体の紙容器を発明しました。
そしてこの日本に紙容器が初めて紹介されたのはこのテトラパック社の四面体です。
アメリカで開発された屋根型は第2次世界大戦直後、進駐軍によって持ち込まれたものなのです。
しかし紙容器が日本国内に流通するのは、それから20年ほど後になってからのことになり、その後、六面体のものも開発されて、紙容器は急速に普及していくことになり、今日なお、今後が注目される容器としての地位を築いています。
紙は昔から私たちの身近にありましたが、食品用包装容器として紙が活用され始めたのは、意外と最近なんです。
なぜ紙容器の食品容器として使用が遅くなったのか
紙は、紀元前2世紀頃、中国で発明されたと考えられており、西暦105年頃に蔡倫(さいりん)という後漢時代の役人が製紙法の改良を行い、使いやすい実用的な紙が数多く作られるようになったと言われています。
このように中国で確立された製紙法はやがてシルクロードにより西アジアに伝わり、その後エジプトを経て、12世紀ころヨーロッパに広がっていき、人々の生活に無くてはならないものとなりました。
しかし食品包装容器としての紙は次のような特徴と問題点を抱えています。
紙容器の長所と短所
紙容器はこれらの問題点を解決するために、プラスチック・フィルムや金属箔などとの積層材の形成や塗工(コーテイング)技術が必要となり、それら技術が確立されることにより、食品容器として紙が数多く使用されることとなりました。
つまり食品容器としての紙容器の進歩(ブレイクスルー)には、プラスチック技術の進化が関係していたのです。
長所 | 〇製造コストが安く、大量生産が可能。 他の包材に比較して安価で、持続的エコ資源である。 〇成形しやすく、デザイン性が高く、軽量 印刷適性が良く、加工しやすい。また軽くて保管・搬送など取り扱い性がよい。 〇素材が柔らかい 柔らかくて、つぶし易く減容化し易く廃棄焼却処理が容易。またその特性としてクッション性など物理的保護性能がある。 〇リサイクル性の高さ 古紙の利用50パーセント以上と回収リサイクル性が高い。 |
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短所 | 〇耐水性が無い。 〇防湿性が弱い。 〇ガスバリヤー性が弱い。 〇耐熱性、特に耐湿熱性が弱い。 〇防虫性が弱い。 〇耐圧耐衝撃性が弱い。 |
容器包装が紙容器である理由とどのように使われているか
紙という素材は、中国から日本にも伝わり、非常に多くの形態で使われてきました。
しかし前述したように紙の短所があるため食品容器としては、限られた場面でしか使われることがありませんでした。
その紙の欠点を補ったのはプラスチックをラミネートする技術です。
紙容器単体でいうと、紙容器であれば使用後に簡単に漬せますし、ラミネートしてあるポリエチレンは燃やすと水蒸気と炭酸ガスに変わり、紙容器は環境にも優しく軽いため持ち運びしやすい容器となりました。
つまり紙容器は、プラスチックをラミネートすることによって紙の長所を生かすことができるようになり、食品用容器としてブレイクスルーを遂げ、現在のように数多くの場面で使われることとなっていったのです。
現在の紙容器の包装形態には、液体紙パック(ブリックタイプ、ゲーブルトップタイプ、ペーパー缶)、紙トレー(製函トレー、絞り成形トレー、パルプモールド)、化粧箱、包装紙、ラベル、段ボールなどがあります。
また木村容器でも数多くの紙容器を取り扱っております。
ぜひ商品ページよりご確認ください。