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日本の文化「包む」 日本の包装の歴史

日本の文化「包む」 日本の包装の歴史

日本の包装の歴史

物が豊かになった今日、ちまたには色とりどりの包装があふれています。
それら包装というものは、今や宣伝のためのツールの一つとなっています。

当社コンテンツ日本の文化 紙袋の歴史の中でも触れましたが、
日本において包装とは、受け取る人に対する気遣いや思いやり、そしてある時には洒落(しゃれ)の心が表れた粋なものでした。

そしてこの日本の「包む」という文化は奥が深く、今でも日本の様々な習慣に受け継がれています。
また海外の人たちからは、日本の包装が非常にクリエイティブなものに映るようです。

先回に引き続き、日本の包装の歴史と文化について考察したいと思います。

日本の「包装」の意味するところ

包装

日本の文化 「包む」ということを考える際に、左側に載せましたが、漢字の「包装」の意味を調べると、その根底にある考えを理解できます。

胎児が母親のおなかの中で育まれている形からできたとされる「包」には、大切なものを包む、または守るという意味があります。
そして「装」には、飾り整える、揃えるという意味があります。

ですから「包装」とは、持ち運ぶという実用面だけではなく、大切な人に贈る、または物を大切に守るという意味があるのです。

ここが、日本の外国の包装に関する文化の違いであって、大きく差別化されているところと言えます。
※詳しくは当社コンテンツ食品包装資材のあれこれをご覧ください。

これらの感性は日本の包装にどのように表れてきたのでしょうか。

紙で包む

贈り物を紙で包装するという習慣は、はじめ祭事で行われていました。
清浄を表す白い和紙の上に赤く染めた和紙を重ね、神事のお供え物だった鮑を干したものを載せ水引で結ぶというその風習は、現在でもお歳暮やお中元、祝儀袋などに簡略化した形で残っています。

そして今でもよく聞く水引は、室町時代に盛んだった冠号貿易で、中国からきた荷物に目印としてつけられていた赤と白の縄をヒントに、贈り物を包み留め、美しく飾るものとして取り入れられたものです。
ただの貿易で使う目印を、贈り物に付ける飾りのヒントにするというところに、物を大切に扱い、贈る相手を喜ばせたい、という日本人の感性が表れていますね。

また和紙で贈り物を包む様々な方法は、「折形」(おりがた)として武家の礼法の一つとなりました。

今では形にとらわれず商業化している紙の包装ですが、上記のように、実は深く追及された包装ですから、やはりこれも日本独特の文化といえます。

余談ですが、お年玉などを渡すときに使う「ぽち袋」は、紙で包んだ「おひねり」から発展したものです。
演劇や芝居などの演者に渡すのに、紙で包んだだけではお金がこぼれしまうし、お金を直に渡すのは気が引けるという気遣いから、袋状のものに入れるようになったのです。
この「ぽち」という名称は、わずかですがという謙虚な気持ちが表れた言葉のようです。
こんなところにも日本人の性質が表れています。

布で包む

日本の包装の歴史を調べてみると、奈良時代にはすでに布で包むという習慣があったようです。
その証拠に正倉院の宝物庫の中に、舞楽などで使用する衣装を包む布として使われていたものを見ることができます。
名前も「つつみ」と言い、使用方法そのままの呼び名で呼ばれていました。

その後お風呂に入る際にこの「つつみ」を敷いてその上で服を脱ぎ着したことから、その布を風呂敷と呼ぶようになったのです。

その江戸時代には染色や加工の技術が発達し、様々なデザインの風呂敷が使われるようになりました。
戦国時代の戦(いくさ)も終わり、平和な世になってくると、この手の文化が花開くことになります。
それとともに、行商や日常の用事だけではなく、正月や花見などの行事の際に重箱や酒を包んだり、贈り物を持って行く際に包むなど、「贈る」「飾る」という使い方も多くなりました。
また風呂敷を使った包み方も数多く編み出され、用途や行事に合った包装へと発展しました。

その風呂敷から発展した包装の中に「袱紗」(ふくさ)というものがあります。
皆さんは聞いたことがありますか?
簡単に言うと、冠婚葬祭のときにご祝儀などを包む袋のことです。
多分見たこと、使ったことがある人は多いのではないでしょうか?!

その「袱紗」(ふくさ)は、元々貴重品の入った箱の上にかけていた風呂敷でしたが、次第に贈り物や慶弔時の金品を包むために特別に作られた布が用いられるようになりました。

現在では、のし袋を袱紗(ふくさ)で包んで持参し、渡すときは袱紗(ふくさ)を開き、その上に金封をのせて差し出すという形になっています。
のし袋という紙の包装を、さらに袱紗(ふくさ)で包むというかなり厳重な包装ですが、これも、単に金品を入れる包装を超えて、贈り物を丁寧に扱い、行事の際に相手と喜びや悲しみを共にするという気持ちの表れでもあるのです。

このような日本の包むという文化の中で、代表的な役割を持つ風呂敷は、どんな形のものでも包むことができ、使わないときは畳んで小さくすることができるということで、環境にやさしい包装として近年見直されています。
皆さんも使ってみるのはいかがでしょうか?

また風呂敷は、風呂敷に包んで贈り物を持参し、その後渡したらその風呂敷は畳んで持ち帰るというのが通常ですが、その風呂敷ごと相手へのプレゼントにするという渡し方もあります。
受け取った側が喜ぶようなきれいな風呂敷を選ぶのも、楽しい時間ですね。

日本の包装する技術

海外でも包装することはありますが、包むよりも箱に入れることの方が一般的のようです。
そのように海外では物を入れて運ぶという非常に実用的なものなので、包装する技術は日本ほど発展していません。

もともと「包む」という文化を持っていた日本では、手早くきれいに包装する技術が優れています。

例えば海外の人から来た人からすると、デパートなどで熟練の店員さんが、一枚の紙でテープもほとんど使わず手早くギフト包装をする技術は驚きの的であり、「神業」として動画を紹介するほどです。

わたしも子供のころ、デパートで店員さんが一枚の紙でギフト包装する様子を、じっと見ていた記憶があります。
やっている本人にとっては大したことではないのだと思いますが、やはりそれも日本の包むという文化を表している、素晴らしい技術であると思います。
このようにきちんと包装されていると受け取った側も、そのキチンと包装紙によって包装された贈り物をただ"びりびり"破くでのはなく、丁寧に開き、きれいに畳んだりします。
そしてその包装紙がキレイならば、自分も使ったりします。
余談になりますが、わたしの祖父祖母はデパートの包装紙を取っておいて、自分で買った贈り物の包装紙として使っていました。
これも庶民の知恵なのでしょうか・・・

話はずれましたが、それはやはり日本の文化の中で「包む」という行為が、それを受けとる人への気遣いや思いやりが表れたものであり、美しく包んでくれたその行為に対する敬意だったりするものなのでしょう。

木村容器では、様々なシーンで使える豊富な包装資材をご用意しています。
日本の包むという文化を代表する包装用紙やご祝儀袋、紙袋などさまざまなものを、日本の包むという文化を理解し扱っております。
ぜひ何なりとご相談ください。

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