ビニール袋とポリ袋。どっちの呼び名が正しいの?
昔はみんなレジ袋だったのですが、ここ数年で、マイバッグがずいぶん浸透してきました。
今ニュースでもプラスチック関係のニュースを聞かない日はないですね・・・
たとえば、「袋はお付けしますか?」と一言聞かれて、「ハイ」と言えば無料でつけてくれるスーパーもあれば、
お店からは何も言わず、希望する人には一枚5円で少し丈夫そうな透明の袋を販売するスーパーもあります。
ところでみなさん、この「袋」をなんと呼んでいますか?
昔ながらの呼び方でビニール袋という人もいますが、店頭で売っているのを見ると「ポリ袋」とも表記されています。
この「ポリ袋」と「ビニール袋」は別物なのでしょうか、今回は、この「袋」の正式名称について調べてみます。
ビニール袋とポリ袋は別物?!
ビニール袋とポリ袋は、一体どこが違うのでしょうか。
結論から書きますと、ビニール袋とは塩化ビニル製の袋のことで、ポリ袋とはポリエチレンまたはポリプロピレン製の袋のことです。
せっかくなのでもう少し詳しく説明すると、塩化ビニールもポリエチレンもポリプロピレンも、たくさんあるプラスチックの種類の一つで、原油からとれるナフサが基になっています。
その後の製造工程は、簡単に言うとこうなっています。
ビニール:ナフサからエチレンを取り出し塩素を合成して塩化ビニルという気体を作り、この気体をたくさんつなげて固体にする
ポリエチレン:ナフサを加熱してエチレンという気体を取り出し、この気体をやはりたくさんつなげて固体にする
ポリプロピレン:ナフサを加熱してプロピレンという気体を取り出し、たくさんつなげて固体にする
あまりに簡単にしすぎてツッコミが入りそうですが、ここでは袋の違いについての説明なので、あえて簡略化しています。
このように、ビニール袋とポリ袋は別物であると言えますが、一般的には同じような意味で用いられています。
しかし前述しらように、ポリ袋もビニール袋もそれぞれ性質が異なるので、日常では用途に応じて使い分けられているんです。
ポリ袋、ビニール袋のそれぞれの性質と用途
ではポリ袋、ビニール袋のそれぞれの性質と用途について考えてみたいと思います。
塩化ビニル | 強度があり日光や風雨などに強い。 低温や、石油・灯油・シンナー・接着剤などの有機溶剤に弱い。 ラップ、プールバッグ、透明なテーブルクロス、雨どい、水道管の一部などに使用 |
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ポリエチレン | 水や油に強く低温でも変化しない。酸やアルカリに強く、製造する際の添加物が少ない。熱に弱く接着しにくい。 【柔軟性のある低密度ポリエチレン】は、スーパーの袋、マヨネーズなどの容器、ゴミ袋などに使用 【硬くて透明性が低い高密度ポリエチレン】は、雑貨屋さんや本屋さんのカシャカシャしたレジ袋、バケツ、灯油のタンク、シャンプーの容器などに使用 |
ポリプロピレン | 最も軽いプラスチック。強度が優れている。熱に強く酸やアルカリ、油や薬品にも耐えられる。日光で劣化する。冷凍、接着や印刷に不向き。 包装フィルム、タッパーなどの容器、自動車のバンパーやハンドル、注射器、キャップ、繊維などに使用 |
このように用途を挙げてみると、ビニール袋と言われている袋のほとんどは、ポリエチレンやポリプロピレン製ということが分かります。
ですから、ビニール袋とポリ袋。どっちの呼び名が正しいの?という質問に対しては「ポリ袋」の呼称のほうが正確な名前に近いということになります。
しかし実際はどうなのでしょうか?
わたしはビニール袋と呼んでいます。
ではなぜ「ビニール袋」の方がよく使われているのでしょうか。
なぜビニール袋が一般的なのか
それは、日本では塩化ビニル樹脂の方が歴史が古く、袋と言えばビニールという時代が長かったのです。
しかし1990年代にダイオキシンが問題になったときに、
「塩化ビニル製の袋を燃やすと有毒なダイオキシンが出る」ということで、
塩素が含まれた塩化ビニールの袋の代わりに燃やしても有毒なガスが発生しないポリエチレンやポリプロピレン製の袋が主流となったということが関係しています。
話は逸れますが、実際には、何を燃やしてもダイオキシンは発生し、むしろ燃焼温度や排ガス処理の方がダイオキシン類濃度に大きな影響を及ぼすということが分かってきたのです。
少し戻します。
ですからポリエチレンやポリプロピレン製の「ポリ袋」が主流となった今でも、水を通さなくて軽いレジの袋は「ビニール袋」として認識されているのです。
実際、特に言葉の定義にこだわりのある人や、その業界の人でないかぎり、「ビニール袋」で普通に通じますよね。
余談ですが、英語では Plastic bag(プラスチックバッグ)と言います。
使用上の注意
最後にこのように、とても身近で使いやすい袋ですが、一般に「ビニール袋」と呼ばれているものを使用するときの注意点をいくつか挙げてみます。
買い物した時にスーパーでもらう袋を家庭で再利用することがありますね。
これらは低密度ポリエチレンでできている「ポリ袋」なので、熱に弱いという特性があります。
ですから熱くなるものの傍に置いたり近づけたりしないように注意しましょう。
溶けてくっついてしまいます。
また凹凸のあるものを入れると袋に傷がつき裂けてしまいます。
冷蔵庫では大丈夫なものでも中身が冷凍されると硬くとがって袋に穴をあけることがあります。
冷凍する場合は内容物を何かに包んだり袋を二重にしたりして工夫しましょう。
透明で丈夫な塩化ビニルの袋は、低温になると弱くなります。
また除光液や灯油などの有機溶剤によって破損しますので、そういったものが付着しているものを入れないようにしましょう。
木村容器で扱っているポリ袋などは、素材や耐熱温度などの情報を細かく記載していますので、選ぶ際の参考にしてください。
木村容器は何でも取り揃えています。