今、世界の海でクジラやイルカ、ウミガメなどがプラスチックごみの犠牲になっています。
日本でもある夏のこと、神奈川県鎌倉市の海岸にシロナガスクジラの赤ちゃんが打ち上げられ、胃の中からプラスチックごみが発見されました。
あれは衝撃でしたね。
このようなプラスチックから生じるごみ問題日本ではどのようになっているのでしょうか。
日本の現状を調べてみました!
実は、日本はプラスチック大量消費国
UNEP(国連環境計画)によると、日本は一度で使い捨てされるプラスチック容器包装の1人当たりの廃棄量が世界で2番目に多く、まさに使い捨てプラスチックの大消費国になっています。
川を通じて海に流れ込んだレジ袋やペットボトル、食品容器などは、海底ごみや漂着ごみ、マイクロプラスチックとなって存在し続けます。
環境省の調査によれば、2016年に日本全国で回収した漂着ごみは約3万トン。
最も多いのはプラスチックごみで、外国から流れ着いたものもありますが、多くは日本国内から出たプラスチックごみと見られています。
「海に流れ着く以前の川の段階で、相当数のマイクロプラスチックが流れていることが、2015~16年の東京理科大学の片岡智哉助教らの全国調査でも確認されています」
ではこの日本でゴミはどのように処理されているのでしょうか。
日本のゴミ対策とは
日本に来た外国人のコメントで耳にすることが多いのが「ゴミが落ちていない、少ない」というものです。
確かに外国にいくと結構ゴミが落ちています。
日本も落ちているように見えますけどね・・・(笑)
実を言うと日本はけっしてゴミが少ない国ではありません。
産業廃棄物を除くゴミを国民の数で割ると、一人当たり毎日1キロほどゴミを出しています。
日本はこれほど大量のごみをどのようにして処理しているのでしょうか?
それは焼却という方法です。
世界を見ると、ゴミは埋めて処理しているところがほとんどで、なんと世界の焼却炉の7割ほどが日本にあるということです。
日本は国土が狭いため最終処分場にする場所も少なく、燃えるものはまず燃やしてかさを減らしてから埋め立てているのです。
ゴミを焼却する時に発生するダイオキシンは一時期大問題となり、その結果「ダイオキシン類対策特別措置法」というものができました。
しかし、日本はダイオキシンを大量に出している国として世界では問題視されることもあります。
ではこのゴミ問題に解決方法があるのでしょうか?
日本はゴミを燃やしている!
ゴミを小さくして埋め立てるのは良いことのようにも思いますが、焼却することで生じる問題もあります。
焼却によって特に心配されるのは、「ダイオキシン」です。
ダイオキシンは廃棄物中の有機物と塩素分が化合してできる有害物質で、生殖機能の低下や腫瘍形成、免疫抑制、胎児への影響などが懸念されています。
多くのゴミを焼却している日本は、ダイオキシンの排出が世界一と言われています。
では、ダイオキシンの排出を減らすためにどんなことができるのでしょうか?
ダイオキシンとは
ダイオキシンは、正式にはダイオキシン類と言います。
ダイオキシンとは物の製造や廃棄物などの焼却過程、環境中の自然的過程で生成される化学物質です。
これは単一の物質ではなく大きく分けて以下の3つの物質の総称で、塩素の数やその付く位置が異なる異性体が数多く存在し、それらは毒性が異なります。
「ポリ塩化ジベンゾ-パラ-ジオキシン」(PCDD)
「ポリ塩化ジベンゾフラン」(PCDF)
「コプラナーポリ塩化ビフェニル」(コプラナーPCB)
これらダイオキシン類意を細かく分類すると200以上存在するといわれており、そのうち毒性があるとみなされているのは 29種類です。
これらダイオキシン類は、廃棄物の焼却、塩素によるパルプなどの漂白、農薬などの化学物質を製造する際の副生成物として非意図的に生成するといわれています。
ダイオキシン類は無色の固体で水に溶けにくい、安定した物質です。
ですからそのようにして生成されたダイオキシン類は、難分解性の物質であるため、環境に放出されると土壌や水環境中に長期間残留します。
そして、太陽からの紫外線によって除々に分解される、脂肪などには溶けやすいという特性を持っているため、
魚介類・肉・乳製品・卵などに残留しやすく、このような食物連鎖を通して生物濃縮され、生体に影響を及ぼすと言われています。
技術革新!「溶融炉」の技術でダイオキシンを安全に減容化!
まず初めにダイオキシンがなぜ発生するのか考えてみたいと思います。
ダイオキシンはなぜ発生するのでしょうか。
ダイオキシン類は、前述のように炭素・酸素・水素・塩素が熱せられる過程で、自然に発生してしまう物質です。
主に塩素を含むプラスチックやビニール製品などを 概ね 200℃以上,とくに 300 ~ 400℃の温度域の低温度で燃やすと発生しやすいといわれています。
ダイオキシンが大量に発生していた原因は、焼却時の温度が主だったということが分かってきました。
我が国のダイオキシン発生量の90%以上は、廃棄物焼却が排出源となっている。
ですからこのゴミ焼却方法を見直せばダイオキシンの発生も抑制できるのではないかと考え、その取り組みがなされました。
その新しい取り組みによって焼却炉に加え、ガス化溶融炉の導入が進んでいきました。
ゴミを大量に出している日本は、それだけゴミの減容化の技術が世界一と言われています。
その技術の一つが前述の「溶融炉」です。
その溶融炉では、ゴミを1300℃〜1700℃の高温で溶かします。
この溶融炉の高温のおかげでダイオキシンなどが低減化されるという利点があります。
また溶融炉では通常の可燃・不燃・その他、ガラスや金属・医療系廃棄物などあらゆる種類のごみを処理することができます。
処理後ゴミの体積は6%にまで減容し、最終的に生成される燃えカスは「溶融スラグ」と呼ばれ、リサイクルが可能です。
このように「溶融スラグ」は黒いガラス状の物質で、土木資材としてアスファルトやコンクリート製品に混入されリサイクルされています。
しかし日本のごみ処分場にある焼却施設うち、溶融炉は一割にも満たず、また新たな大型焼却炉の建設は住民の反対などによりなかなか進んでいないのが現実です。
このようなことを考えると、ダイオキシンなどの有害な影響を減らすには、ゴミそのものを減らしていくことがどうしても必要なのです。
ゴミを減らすには?
前述したように、日本でのゴミの総排出量は一年間で4,289万トン(H29)、一人1日あたりにすると一日あたり920グラムになります。
ゴミを減らすには、3Rと言われる、Reduce(リデュース)、Reuse(リユース)、Recycle(リサイクル)に取り組んでいくことが大切です。
右の図は、木村容器(株)のある東京都港区の可燃ごみの内訳を示したものです。
可燃ゴミのうち、3割近くを占めるのが「厨芥類」と言われる生ごみであることが分かります。
厨芥類の中には食品ロスと言われる、本来食べることができたはずの食品の廃棄が含まれています。
食品ロスはスーパーや飲食店やコンビニなどの食品を扱うところで多く発生しています。
最近は飲食店やテイクアウトなどのお店で、少な目を選択できるところが増えてきました。
こうした取組はゴミを減らす観点でもとても良いものです。
二番目に多いのが紙類となっています。
紙類は再生可能な資源からできているので、リサイクルを徹底するならエコな資源といえます。
ではその次に排出量が多いプラスチックごみはどうでしょうか?
減らせないプラスチックごみはバイオマスへ
あまり知られていませんが、日本人1人当たりのプラスチックごみ廃棄量は、米国に次いで世界2位となっています。( 2018年国連環境計画の報告書)
しかしゴミを減らしてダイオキシンを減らすことは急務なんだ、と分かっていてもすぐに減らせないのがプラスチックゴミです。
なぜなら生活用品も消耗品も食品関係も…ありとあらゆるところでプラスチックが使われていて、私たちの生活はかなりの程度それらに支えられているからです。
そこで注目されているのがバイオマス原料を使用して作ったバイオマスプラスチックです。
これらバイオマスプラスチックを使用することによって、プラスチックの原料から環境に配慮していくことができるのです。
バイオマスプラスチックの優れているところ
環境保全が急がれる今、「バイオマス」への期待が高まっています。
そもそもバイオマス原料とはなんでしょうか?
バイオマスとは、動植物(木材、海藻、生ゴミ、紙、動物の死骸、糞尿、プランクトン)から生まれた、再利用可能な有機性の資源のことです。
バイオマスは、プラスチック製品や燃料など様々なものに利用されています。
バイオマスの何が優れているかというと、バイオマスは燃焼熱が低いため低温で焼却でき、ダイオキシンが発生しません。
また、カーボンニュートラル(焼却時排出される二酸化炭素=原料植物の栽培)の考え方により、大気中のCO2濃度を上昇させないという利点があります。
バイオマスは今まで一般的だった石油由来のプラスチックと違い、再生可能な資源を使用して作られているので枯渇資源の保護にもなります。
最近はわたしたちの身近なところで大量に消費されているプラスチックの食品包装容器や、テイクアウトのカトラリーなどでもバイオマスプラスチック製品を使用するところが多くなっています。
まとめ
ゴミの大部分を焼却処理している日本ではゴミを減らしたり、ダイオキシンや二酸化炭素を減らすための研究が進んでいます。
この機会に、バイオマスプラスチック製品への移行をお勧めいたします。
木村容器ではバイオマス素材を使った様々なバイオマスプラスチック製品をご用意しています。
ぜひ木村容器のパッケージコンシェルジュまでご相談ください。