特定プラスチック製品のカトラリー(スプーン、フォーク)について探る!
2022年4月についにプラスチック資源循環法が施行されました。
SDGsという言葉もよく耳にするようになり、生活に関わる身近な使い捨てプラスチック製品12品目が対象となったので、変化を感じた方もいらっしゃるのではないでしょうか?
2020年に施行されたレジ袋有料化ではコンビニ、スーパーなど小売り各社は足並みをそろえる形になりましたが、今回のカトラリーに関しては各社対応に違いがあるようです。なぜでしょうか?
「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」の概要
海洋プラスチックによる環境汚染や焼却時に発生する二酸化炭素による気候変動問題を背景に、無駄なプラスチックの廃棄量を削減し、環境への負荷が少ないバイオプラスチックの利用を増やしていくこと、さらにリサイクルを促進させることを目的に策定されました。
こちらの「プラスチック資源循環促進法で求められるエコとは?」も併せてご覧ください。
特定プラスチック製品を前年度5トン以上提供した事業者が「多量提供事業者」とされ、使用の合理化が求められています。
ちなみに、5トンとは小売店:10~20店舗、ホテル:4~5施設、クリーニング:10店舗程度での供給量に相当します。
使い捨てカトラリーの場合はコンビニ等でよく使用されるスプーンなどは約4gなので、年間約125万本、月間約10万本以上を使用する事業者が対象となります。
レジ袋有料化との違いは?
2020年7月にレジ袋が有料化され、マイバックを持ち歩く人が増えました。
施行からもうすぐ2年経ち、レジ袋をなるべく使わない生活に慣れてきたかと思います。
今回施行された「プラスチック資源循環促進法」と「レジ袋有料化」の違いは何か考えていきたいと思います。
まず、レジ袋有料化については「容器包装リサイクル法」に基づき施行されました。
2020年に改正され、プラスチック製買物袋についてはその排出抑制の手段として有料化を必須とする旨が規定されました。
つまり、有料化を通じてレジ袋の必要性を吟味することにより、環境問題について身近なものとして関心を高めようというライフスタイルの変化を促すものでした。
一方、今回のカトラリーに関しては「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」に基づき施行されました。
この法令で、事業者側に特定プラスチック使用製品12品目の提供方法を工夫するなど合理化を求めています。
その工夫の手段として、有料化やエコな素材を使用した製品を提供するなどが明記されました。
ではなぜ、同じプラスチック製品であるレジ袋とスプーン・フォークなどのカトラリーは対応が分かれたのでしょうか?
目的はどちらも使い捨てプラスチックの削減・リサイクルの促進ですが、レジ袋有料化に関しては法令で「有料化」がはっきりと記載されたのに対し、今回の特定プラスチック使用製品に関しては削減の手段の一つとして「有料化」があったため、各事業者で対応が分かれたと思われます。
また、包装容器リサイクル法では無償提供されるカトラリーは含まれず「レジ袋有料化」と基づく法令が異なることやレジ袋は世界各国の多くで無料配布が規制されているため、日本でも無料配布禁止が導入されました。
大手コンビニ各社の対応
先述したようにプラスチック資源循環法ではプラスチックの使用の合理化を求めています。
では、合理化とは一体どのような取組みをすればいいのでしょうか。
- 提供方法の工夫:有料化、ポイント還元、消費者への意思確認、繰り返し使用の促進
- 製品の工夫:軽量化、薄肉化、再生可能原料の選択(バイオプラスチック、再生可能原料、再生プラスチック)、繰り返し使用可能な製品、適切なサイズの製品
事業者は実態に応じて上記から有効な取組みを選択・実施する必要があります。
では、私たちに身近な大手コンビニ3社ではどのような対応をとっているのか見てみたいと思います。
スプーン | フォーク | |
---|---|---|
セブンイレブン | 植物由来(バイオマス)の素材を30%配合 | 植物由来(バイオマス)の素材を30%配合 |
ローソン | プラスチック製穴あきスプーン 木製スプーン (選択制) | プラスチック製穴あきフォーク |
ファミリーマート | プラスチック製穴あきスプーン 生分解性プラスチックスプーン(一部店舗) | プラスチック製穴あきフォーク 生分解性プラスチックフォーク(一部店舗) ※今後フォークの配布中止予定 |
このようにバイオマス素材の導入や従来に比べ軽量化を図るなど対応が分かれています。
私たちのお客様で使い捨てカトラリーを使用する事業者の方もどうすべきか対応を考慮されている方が多いようです。
そこで、次に環境に配慮した素材をご紹介したいと思います。
プラスチック資源循環法に対応するカトラリー素材
石油由来プラスチック製品への規制が世界的に広がりをみせており、「SDGs(持続可能な開発目標)」においても石油由来製品の代替素材を使うことは有効です。
では、カトラリーにおいてどのような素材があるかご紹介いたします。
バイオマスプラスチック
再生可能な生物由来の資源を材料として合成することで作られるプラスチック。これを焼却処分した際、発生した二酸化炭素を吸収し、原料となる植物が育つことで、大気中の二酸化炭素の濃度を上昇させないという特徴があります。(カーボンニュートラル理論)
生分解性プラスチック
微生物分解性プラスチックの略。使用後は特定の状況下で微生物の働きにより、最終的に水と二酸化炭素に分解され、自然界へと循環するプラスチックです。
上記は生物由来の原料を使用しており、「バイオプラスチック」とはこれらの総称です。
どちらの物質も石油由来のプラスチック素材が持つ環境への課題に対応できると期待されています。
バイオプラスチックは各企業により、どういった生物由来資源が使用されているか異なります。
地域により特産品があり、その特産品特有の産業廃棄物を有効活用した新しいバイオマスプラスチックが次々と開発されています。
そして、「脱・プラスチック」の流れも最近ではかなりみられるようになりました。
カトラリーに関しては、木製品や竹製品も多く取り扱うようになりました。
次回では、環境に配慮したカトラリー製品についてご紹介したいと思います。