ここ数年、成長を続けている中食市場。
今もさらなる伸びを見せており、「これから中食事業に参入したい」と考える飲食店経営者は少なくないでしょう。
このコンテンツでは、その中食について解説いたします。
中食の定義とは
「中食」はレストランなど外出先で食べる「外食」と家庭内で手作り料理を食べる「内食」の中間で、家庭外で調理・加工された食品などの市販の弁当や惣菜などを家庭・職場・学校・屋外などへ持ち帰り、調理加熱することなく食事として食べられる状態に調理されている、日持ちのしない食品の総称のことを指しています。
中食市場規模
日本惣菜協会が発表した「惣菜白書」によると、2018年の中食市場規模は10兆2,518億円に。前年比1,963億円増。10年前は8兆2,516億円で毎年成長を遂げており、好調な推移を見せています。
中食のカテゴリー別構成比
中食の市場規模の内訳を構成比で見ると、大半を占めるのが米飯類と一般惣菜。
1位:米飯類(46.4%)
2位:一般惣菜(35.7%)
3位:袋物惣菜(7.1%)
4位:調理麺(5.7%)
5位:調理パン(5.1%)
となっております。
成長を続ける中食・惣菜市場
コンビニを利用すると、レジのまわりでコロッケや春巻きなどのおかずを売っている店舗がほとんどです。
以前は、冬場には肉まん・あんまん、おでんが並ぶことはありましたが
通年で「おかず」などの惣菜が並んでいることはありませんでした。
また、最近ではドラッグストアに入るとおにぎりや弁当が並んでいるのを見ます。
このように、近年「総菜」をどこででも見るということは、惣菜を扱う店舗が増えているということです。
このように食市場は時代の潮流とともに変化し、「総菜」は日本人の食生活に欠かせないものになってきました。
成長を続ける中食・惣菜市場
先ほどの成長率はざっくりでしたが、もう少し詳細に説明いたします。
過去10年間、食市場全体の成長率は年率 1%程度にとどまっています。
しかし中食市場の成長率は 2%強となっており成長をつづけています。
中食需要が伸びている背景には、高齢者と単身世帯の増加、共働き世帯の増加があります。
高齢者は安全面から火を使って料理をすることが少なくなり、買い物に出かけられる人は近場ので弁当や総菜を買ってきて食べたり、出かけられない人は家まで調理済みの料理を配達してもらうケースが多くなっています。
単身者や共働き家庭は時短のために総菜を利用することが多く、また外食よりも安上がりなテイクアウトを利用して、家にいながらお店の味を楽しむ、という中食の使い方もされています。
こうした需要は今後も続くと予想されており、中食・総菜市場は質や販売方法の面で日々成長を続けています。
そしてこの日本では、今後も伸びていくだろうと考えられています。
企業努力 売るための取り組み
こうした中食などの惣菜の需要増加に応えるため、食品スーパーでは惣菜売場を広げたり、好きな総菜を一人分から買うことができる量り売りや惣菜バイキングなど、販売方法を工夫しています。
コンビニエンスストアでは最初に述べたようなレジ周りでの揚げ物の販売のほかに、冷蔵の総菜売り場ではパウチにはいった煮物、焼き魚、サラダ、つくだ煮などたくさんの種類の総菜が置かれています。
これは毎日中食などの惣菜を購入し、飽きない為に和・洋・中と順番に食べていったとしても、1週間飽きずに食べられるほどの種類です。
このような企業努力を他店との差別化をしながら行い続けているというのは、大変な努力だと思います。
このように、中食を扱う販売チャネルが増加していることも、中食・総菜市場の成長に貢献しています。
しかし成長についていけない部分もあります。
不足する労働力
日本の高齢化社会は労働力の減少という社会問題を生んでいます。
ニュースで耳にする製造現場の労働力不足は、中食・惣菜の製造現場にも影響を与えているのです。
中食市場の主力商品である弁当・惣菜は、品数が多いうえに季節によって中身が変わるものです。
そのため大規模な機械設備を使って大量生産というわけにはいかず、慢性的な人材不足に悩まされています。
これを解消するために、製造工程の一部を業務用食品メーカーに外注する工場が増えています。
例えばサンドイッチに使う具を自社で作らず、業務用食品メーカーに製造を依頼して完成品を購入したり、弁当に入れる、総菜の一部を外注する、という方法があります。
このように政府の無策によって生じている人手不足に悩みながらも、よりおいしく安全な総菜をどうやって提供していくか、各社が研究・開発を進めています。
まとめ 成長していく中食
日本惣菜協会によると2016年の惣菜市場規模は9兆8千399億円となり、10兆円産業が現実のものになってきました。
その数字の通り商材市場の競争はさらに激化しており、コンビニやイオンをはじめとする食品量販店は、新たな見せ方によってさらに総菜を売る工夫を続けています。
その一つが、イートインコーナーの拡大です。
お弁当を買ってその場で食べる、また店内の総菜を組み合わせて自分好みの食事をイートインで食べて帰る、という選択肢ができました。
以前には一部のスーパーにしか無かったイートインコーナーが、数多くの場所で見かけるようになりました。
それはパン屋などにも広がっています。
また、宅配や通販で総菜を扱うなど業種業態を超えて中食・総菜市場への参入が見られます。
それを助ける業種も現れています。
一般の店舗が宅配やテイクアウトなどを気軽に参入できるように手助けする宅配専門の会社も現れるようになったのです。
このように、消費者サイドの需要の高まりと販売チャネルの拡大が相まって、今後も中食・総菜市場は成長していくものと予想されます。