わたし達の生活と食品トレイ
昨今、世界中でプラスチックの取り扱いが課題となっているというニュースを聞きます。
確かに、便利で経済的なプラスチックなのですが、取り扱いを間違えると課題が多いのもプラスチックです。
今日考察したいのは、その中でも便利でありながら、今スーパーで問題になっている「食品トレイ」に関してです。
食品トレイとは、スーパーなどで肉、野菜、魚など様々な食品を包装するのに使われている発泡スチロールやポリスチレンの包装容器です。
現在では発泡トレイだけでも年間約14万トンが生産されているそうです。
「14万トン」といっても、何かピンとは来ませんが、多いことは分かります。
これほどたくさんのトレイはどこで使われているのでしょうか?
スーパーに行った時に少し気を付けてみると、野菜売り場ではトマトやインゲン、きのこ、魚売り場ではお刺身に切り身、たらこもメカブも食品トレイに載っています。
精肉コーナーを見るとほぼすべての肉が食品トレイで包装されています。
このように食品トレイは現代の私たちの生活の中で欠かせないものとなっています。
ここでは、この食品トレイがこれほどたくさん消費されている理由と、何が問題になっているのかを、お店と消費者の両方の観点から考察してみたいと思います。
食品トレイの登場
食品トレイが本格的に食品包装資材として使用されるようになったのは、スーパーマーケットが登場した1950年代に入ってからのことです。
プラスチックでできている食品トレイは、様々な形に成形でき、耐水性、耐油性に優れた素材です。
また軽量で価格もやすいことから、大量生産・大量消費の時代に欠かせない食品包装容器となり、現在に至るまで広く使われてきました。
また、食品トレイは熱で成形するため衛生的で、密封性やガスバリア性(空気や酸素を通さない性質)に優れているので、生鮮食品の鮮度を維持する点でも役立っているのです。
大量生産・大量消費の先にあるもの
経済が成長し、人口が増え大量生産・大量消費の時代になると自然の摂理で、数多くのゴミがでるようになります。
そうなると、そのゴミの処理が問題となっていきます。
この食品トレイもはじめは使い捨てでした。
当然家庭から出るごみのかさは増え、自治体によっては有料のゴミ袋をたくさん消費しなくてはならないことになります。
そうなると食品トレイの回収を時代が求めるようになりました。
そこで、スーパーマーケットなどで使用済みの食品トレイを回収しリサイクルする「自主的回収リサイクル」が1990年に始まったのです。
私の家の近所にあるスーパーでもほとんどのスーパーマーケットが店頭での使用済みの食品トレイの回収を行っています。
その努力のせいか、現在、発泡スチロール製のトレイのうち25%ほどがリサイクルされた資源で作られているのです。
しかし、この使用済みの食品トレイの軽くてもかさばるという性質がある問題を生んでいるのです。
それぞれの苦労
なんてこった・・・・
そんなつぶやきが聞こえそうな写真です。
順調に言っているはずの使用済みの食品トレイの回収にはそれ以外の課題もあります。
・お店側の事情
使用済みの食品トレイの回収が軌道に乗り、大衆の理解も進み、お店の回収ボックスに、洗って乾燥させた食品トレイを捨てるという場合は何の問題もありません。
しかし納豆の容器などをお店の回収ボックスに入れる人がいなければ、ですが・・・・。
家で食器を洗う人は嫌でも体験をしていると思いますが、納豆だけではありません。
食品によってはちょっとやそっとでは落ちない食材もあります。
そのような食材を入れた使用済みの食品トレイをきれいに洗って回収ボックスに入れる人ばかりだと良いのですが、どういう訳にはいきません。
世の中には面倒くさがり屋だったり、多くの人が空気を読めるそのようなことにも気が付かない人は数多くいます。
また、レジで清算を済ませた後、トレーから食品だけをポリ袋やジプロックなどに移し、食品トレーを店内のゴミ箱に捨てる人もいます。
皆さんも目にしたことあるでしょう。
お肉や魚の汁が付いたままの食品トレイをゴミ箱に捨てるので、当然臭いが気になりますし、不衛生です。
また、そのように食品トレーから食品を移し替える作業を行うため、移し替える台を汚したり長時間台を占拠している場合もあります。
このように悪臭を放つ不衛生なゴミ袋を片付けることは、お店の負担にもなっているのです。
実際うちの近所のスーパーは、何回も張り紙をしたが改善されなかったということで、昨年からゴミ箱を撤去してしまいました。
あーこうなったか・・・と思いつつも、これは仕方ないなと思いました。
しかしある場合、他の客から文句を言われたりしながらもこの食品の移し替え作業を行う人にも、理由があるのです。
でもお店で注意が喚起されているのであれば、そのお店ではしなければ良いのですが、自分がやりたいことをどこででもやり通す人はこの時代数多くいます。
そうすると、このようになってしまうのです。
・消費者側の事情
やむを得ず移し替え作業をしている人の中には、仕事が忙しくまとめ買いをする人たちがいます。
一週間分の食品を買えば、かなりかさばります。
それで食品トレイを外してコンパクトにしないと、持ち帰れないのです。
車で買い物に行く人には想像がつかないことかもしれませんが、徒歩でいくつも重い荷物を持って帰るのはかなり大変です。
家族が理解してくれて一緒に買い物に行ってくれれば良いのですが、仕事帰りだったり、忙しかったりしたらなかなか・・・・
自転車だとしたら、仕事カバンの他に安全に持って帰れる袋はせいぜい一つでしょう。
二つ三つと袋を持って帰るには危険を冒してハンドルにぶらさげるか、片手運転をするしかないのです。
こうなると、どうしてもコンパクトにしたくなる気持ちも分からないでもない気がします。
もちろん、そんな人ばかりではなく、ただ家でゴミ出しをしたくないためにやっている人も大勢いるでしょう。
しかし上記のように仕方がない理由があって移し替えをしている人がいる、というのも事実なのです。
このなかなか改善されない食品トレー問題を解決するために、どのような取組がなされているのでしょうか?
食品トレイ包装を減らす取組と課題
人間の課題に対する取り組みは続いていきます。
最近一部のスーパーや生協などで、食品トレイを使わない「ノントレー包装」が進んでいるのです。
ノントレー包装は、食品トレイに乗せて包装する工程を省き、トレイを使わないことでコストを軽減する効果があります。
ノントレー包装は包装資材の削減や、包装がコンパクトになることで運搬にかかる費用も削減できるなど、良い点がたくさんあります。
しかし全体的にみてノントレイ包装がなかなか進まないのは、包装機械を新しくする必要があるからです。設備投資が必要なんです。
少子高齢化で、既存のスーパーが熾烈な競争をしている中で、新たな設備を導入するのは簡単なことではないでしょう。
食品などの価格競争は切実です。
また、食品トレーはリサイクル率が高いという理由で導入しないところもあるようです。
レジ袋も然り、すでに当たり前になっているものを変えるのには、時間がかかるものですね。
今後も環境保全やコストの削減、そして消費者の求める食品包装のための取り組みは続いていくことでしょう。
木村容器はさまざまな形の食品トレーを用意することができます。
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