発泡されたプラスチックは、コルクと同じように構造中に空気の泡を含む形状になっています。1つ1つの気泡が壁によって互いに隔てられた構造は熱を伝えにくいことはよく知られています。発泡プラスチックの断面を顕微鏡で見ますと、風船のような非常に薄いプラスチックの膜の中に空気を包み込んだ形のもので、石垣を積んだような構造になっています。 プラスチックそのものは熱伝導率が低く、これに包み込まれた空気は更に熱伝導率の低い物質ですので、発泡したプラスチックは、発泡していない同素材よりも更に断熱性が高まります。発泡プラスチックは、食品容器ではカップラーメンの容器や、ホット飲料の紙コップなど幅広く利用されています。
包装や容器の材料は、内容物の性質を考慮して選定されているので、全く異なる性質の食品を入れるとトラブルが起きることがあります。例えば、非脂肪性食品が入っていた容器に脂肪性食品を入れた場合、その容器が油に弱いものであれば油に浸されて表面が曇ったり、ひび割れが生じたりすることになります。 再使用する場合は同じような食品か、乾燥固形食品を入れる物に留めておくのが無難です。また内容物によっては、すすいでもなかなか臭いが取れないこともあります。 再使用するときは、以下のことに気を付けましょう。 ・水か微温湯でよく洗浄し臭いがとれたことを確認してから使う ・熱いお茶やお湯等を入れることは避け、よく冷ましてから入れる。 ・ガスレンジやトースター、石油ストーブ等火気のそばに置かない。 ・有機溶剤や薬品、機械油等の入れ物には使わない。
食品用として販売されているポリエチレンの袋は、食品衛生法による規格基準に適合するように製造されています。食品を直接入れることを前提に製造されていますので、裸の食品を入れても問題はありません。 但し、ごみ袋用として売られているポリ袋のなかには、再生原料や規格外の顔料を使っているものもありますので、裸の食品を入れることには避けたほうが良いでしょう。
食品用に多く使われているプラスチックは、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレンです。最近は、ポリエチレンテレフタレート製の容器、ボトルが多く使われるようになりました。 プラスチックは、軽くて丈夫、カビや細菌がつきにくい、熱を加えることにより色々な形に成形できる、水に強い等の特徴があります。 しかし大量の使用済みプラスチック容器がゴミとして捨てられているので、資源の無駄遣いや、環境悪化の原因になっているという短所もあります。海洋に流れ出るプラスチックが、海に漂ううちに微細化し生態系に悪影響を及ぼしていることも分かっています。
ダイオキシン生成に必要な塩素は焼却環境中に常に存在しており、紙や木を燃やしてもダイオキシンを発生させる可能性があります。適切な設備で、適切な条件(800℃)で焼却することにより発生を最小限に抑えることができ、特定の物質の焼却が、ダイオキシンの発生を左右することはないと考えられています。
環境ホルモンは正確には「外因性内分泌かく乱物質」といいます。 「内分泌かく乱物質」は自然界にも存在し、大豆、もやし、クローバー等にも含まれています。ある種の化学物質は体内に入るとあたかもホルモンのように作用し、人や動物に様々な影響を及ぼすのではないかと疑われていますが、環境ホルモンの明確な定義は現時点では確立されていません。 厚生省「内分泌かく乱化学物質の健康影響に関する検討会」(平成10年11月)の中間報告書では『食品用容器の材料として、内分泌かく乱化学物質の問題は、その作用の有無、種類、程度等について未解明な点が多いため引き続き調査研究を推進していくことが重要であると考えられる。』『一般的に用いられている合成樹脂のうち、ポリカーボネート及びポリ塩化ビニルについては、人の健康に重大な影響が生じるという科学的知見は得られておらず、現時点で直ちに使用禁止等の措置を講ずる必要はない。』『また、今後の調査研究の進展等により新たな知見が得られた場合には、必要な見直しを行い、国民の健康確保に支障を来たすことのないように適切に対処しなければならない。』とされています。
プラスチック製品に使用される添加剤は、製品の劣化を抑制したり、耐燃性や可塑性などの付加価値を持たせるために使用されています。プラスチックの添加剤は、「包装や器具から食品中に溶け出し、人が摂取すると推定される量が、その添加剤の許容量を超えない、いわば「安全性上問題がない」という判断基準」にもとづいて、ポジティブリストに記載された添加剤の中から、必要最小限の種類と量が使用されています。 許容摂取量とは通常ラットによる経口亜急性毒性試験の最大無作用量の1/300(安全係数)を基準としています。 安全な物質とは=毒性のない物質、危険な物質とは=毒性のある物質と考えがちですが、摂取量や使い方によってはどんな天然物も合成物も危険なものになり得ます。 逆に、毒性があるとされる物質であっても摂取量が少なければ、体内で分解されたり排泄されたりして、障害を起こすには至らず安全ということになります。例えば食塩やビタミンは過剰な摂取を行えば障害が生じます。 従って、プラスチック用の添加剤は、全量が口に入る医薬品や食品添加物と比べ、使用した製品から食品へ溶け出す量を摂取量としても、きわめて微量であり問題にはならないと考えられます。
「グリーンプラ」とは、一般的に生分解性プラスチックのことを指します。使用中は通常のプラスチックと同じように使えて、使用後は自然界の微生物によって水と二酸化炭素に分解され、自然に還るプラスチックのことです。「バイオマス」とは生物起源のエネルギー資源の総称です。「バイオマスプラスチック」は、石油などの化石資源からではなく再生可能な有機資源から作るプラスチックのことを指しています。どちらも、環境や資源の面で地球にやさしいプラスチックとして注目されています。
プラスチックは種類も多く、性質もそれぞれ異なっているので、最近ではそれぞれの製品にプラスチックの種類を示すマークをつけて、リサイクルのための利便性をはかっています。
、プラスチック容器は、金属やガラス、紙などに比べ、軽くて強い、清潔で加工しやすいなどの利点から、生産者にとっても消費者にとっても安くて便利な容器です。そのため大量に生産され使い捨てされています。しかし資源の有効利用や環境保護という観点で見ると、使用後の処理方法については見直す必要があります。2000年4月から容器包装リサイクル法が施行され、国や業界が循環型社会をめざして、リターナブル容器やリサイクル可能な製品・材料の開発、再生可能な材料を使用した容器開発を進めています。また、消費者も、ゴミの分別や、リサイクル可能な容器の回収に協力するなど双方の努力が必要です。
ワンウェイ容器は、ビール瓶や一升瓶などのリターナブル容器に比べて、より多くのエネルギーを消費していると言われることがありますが、実際はむしろ省エネルギーといえます。 例えばペットボトルは、アルミ缶、スチール缶、ガラスびん等他のワンウェイ容器と比較すると、その製造に必要なエネルギーが少ない容器です。例えば32オンス(約900g)の炭酸飲料容器の場合、1本当たりの製造エネルギーはペットボトルが1,200Kcal、ガラス瓶が1,768kcal、アルミ缶は3,202kcalとなっており、ペットボトルが缶や瓶よりも省エネルギー的であることを示しています。
プラスチックは人工的に作られた材料ですが、目的に応じて様々な性質・機能を持った多くの種類のプラスチックがあります。 食品容器の分野においても、耐熱性、保温性、透明性など目的、用途に応じて多くの種類のプラスチックが使い分けられています。
プラスチックは、油分や酸、アルカリにも強く、ガスを通しにくいため、飲料やしょう油の容器としてペットボトルが、マヨネーズやケチャップの容器にはポリエチレンのものがよく使われています。 また、プラスチックは酸素や水分を通さないので、ハムやソーセージなどの内容物が傷んだり腐ったりするのを防ぐことができます。他にも、いちごのパックにかかっているシートのように、野菜や果物から出るエチレンガスを吸収して、内容物が熟しすぎるのを抑え、新鮮さを保つために役立っているものもあります。
プラスチック容器は瓶や缶と比べて軽く、持ち運びに便利です。また、食品の匂いが移りずらく、水や空気を遮断できるため食品用容器として優れています。他にも、安価で大量生産できることや、きれいな印刷が可能であるなど様々なメリットがあることから、食品用としてプラスチックの容器や袋が利用されています。
言葉の定義としては曖昧なところがあります。 「プラスチック」とは、加熱したとき軟らかくなり、粘土のように柔らかくなる熱可塑性という性質をもつ物質です。そして、それぞれを結びつける手を持つ個々の物質(モノマー)を1,000~数万個結合させてできる強靱な物質をポリマーと言います。そのモノマーは様々な分子でできており、それら分子が数万個という単位で結合した巨大な物質(ポリマー)を「高分子化合物」や「高分子」とも呼んでいます。さらに、そのポリマーに、必要に応じてその性質を改良するための物質(添加剤)を加えたものがプラスチックです。 また従来から、通常製品として成形したものが「プラスチック」で、成形する前の材料が「合成樹脂」であると定義することがあります。それは、コップや皿は「プラスチック」であって、その原料は「合成樹脂」や単に「樹脂(レジン)」であると区別する考え方と同じです。 これらのことから、これら3つの用語は、全く同じとは言えませんが、通常はほぼ同じ意味で使用されています。 ← 言い回しなどを変えています。