品薄の続くニトリル手袋
今回の主役「ニトリル手袋」をみなさんは普段使っていますか?
ニトリル手袋は強度があり、手にフィットするのでいろいろな分野で重宝されています。
食品関係や医療関係、工場や清掃など本当にいろいろなところで利用されているので、毎日使っているという方もいらっしゃると思います。
しかし今、このニトリル手袋が品薄状態が続いているのです。
今回は、ニトリル手袋が手に入りにくくなっている7つの理由を解説したいと思います。
ニトリル手袋とは?
ニトリル手袋とは、化学的に作られたニトリルゴム(合成ゴム)でできた手袋のことです。
ニトリル手袋とゴム手袋は同じものと思われていることがありますが、この二つは素材が違う別物です。
ゴム手袋は天然ゴムラテックスが原料で強度があり扱いやすいのですが、ラテックスによるアレルギーを引き起こす可能性があることから、代替品としてニトリル手袋が使われることが多くなっています。
合成ゴムでできたニトリル手袋は柔軟性こそラテックスには劣るものの、他の点では同様の、またはそれ以上の性能を持っています。
ニトリル手袋耐油性、耐薬品性に優れ、引っ張り・突き刺し・摩耗にも耐える強い素材です。
こうしたことから活躍の場が広く多用されているのです。
コロナ禍でニトリル手袋が必要とされる理由
コロナ禍でニトリル手袋が最も必要とされるのは、やはり医療や介護の現場です。
ラテックスの代替品ともなっているニトリル手袋は、マスクや防護服と同じく医療スタッフが感染症から身を守るために必須のアイテムです。
以前から血液検査や手術など多くの場面で使用されていましたが、新型コロナウィルス感染症の流行によって今までの数倍の手袋が必要となっているのです。
また、介護施設ではオムツの交換や痰の吸入など様々な場面で手袋が必要になります。
感染症対策のため以前よりも頻繁な手袋の交換が必要となっており、こちらもニトリル手袋の確保に頭を悩ませている状況です。
これほどまでにニトリル手袋の不足が生じているのには、以前はニトリル手袋を使用していなかったスーパーや飲食店での使用、また感染症への不安から外出時に使い捨て手袋を使用する個人の消費が増加したことも原因となっています。
一般の人の感染症対策に使い捨て手袋が効果があるかはともかく、個人レベルでの衛生管理意識は確実に高まってるといえます。
このように社会でも個人でも手袋の消費が多くなり需要が増えているのです。
しかしなぜ世界中でニトリル手袋の供給量が足りなくなっているのでしょうか?
ニトリル手袋が不足している理由をさらに探ると、生産国の事情と日本国内での事情があることが分かってきました。
ニトリル手袋はどこで作られている?
日本で使われているニトリル手袋はほとんどを輸入に頼っています。
ニトリル手袋の製造には多くの水を必要とし、製造ラインは長くなるため広い工場施設が必要であることから日本での生産は難しく採算に合わないため海外の製品を仕入れてきたのです。
ニトリル手袋の最大生産国はマレーシアで、なんと世界のシェア3分の2、65%を生産しており、第2位はタイの約18%、3位は中国の9%と続いています。
これらの国はいずれも天然ゴムの産地で、天然ゴムの手袋を製造してきました。
しかしラテックスアレルギーなどで天然ゴム以外で作られた手袋が必要となり、ゴム手袋を作ってきたノウハウを生かしてニトリル手袋の一大生産拠点となっていったのです。
ニトリル手袋が不足する7つの理由
理由その1:ほとんどが海外製
前述したように、日本ではラテックス手袋のほとんどを輸入に頼っています。
海外で製造して輸入している製品は、今回のような有事には供給が滞ってしまうことが多々あります。
その分かりやすい例が、感染症の流行が始まった時に品薄状態となった不織布のマスクです。
理由その2:ロックダウンによる生産数の減少
世界中でコロナが蔓延し、最大生産国であるマレーシアでは政府によるロックダウンが発動しました。
企業には事業の休止や従業員を自宅にとどめておくようにという指示が出され、手袋メーカーに関しては特例として5割の工場スタッフで稼働させる措置がなされましたが、やはり元の生産数を維持することはできません。
理由その3:世界的な需要の拡大
世界中でコロナが蔓延しているため、世界中で使い捨て手袋が必要とされています。
生産数が減少しているにもかかわらず需要が急激に増えているため、必要数の確保ができないばかりか手に入るラテックス手袋の価格は高騰しています。
理由その4:原料の不足
急激な需要の増大に対して必要な原料であるニトリルゴム(NBR)を十分に確保することも不足の原因となっています。
またニトリルゴム(NBR)の増産は新たな製造プラントの建設が必要になるためすぐに対応することもできません。
さらに感染症の流行の為、様々な国で物流が滞りがちなことも原料のスムーズな確保の障害となっているようです。
理由その5:一朝一夕には生産数を増やせない
「頼っていた輸入が難しいとなれば、国内でなんとか作れないのか。」 当然そういう考えが浮かぶと思います。
すでに国内の設備を医療用手袋製造に転用することも検討されたようですが、他の手袋と医療用手袋とでは製造ノウハウが異なり、厚生労働省の許可が必要となるため内製化には時間がかかるのです。
理由その6:有事の決断力不足
今まで安く仕入れていたものが何倍にも値上がりすると、購入を躊躇うのも仕方のないことですが、ニトリル手袋に関しては需要がひっ迫している欧米のメーカーが即決し購入していくという状況が多々見られます。
そのため国内ではさらに不足に陥るという状況が少なからず生じています。
やはり有事には先を見据えた決断力が大切になってきます。
理由その7:海外特有の事情
さらに海外特有の事情として、これまでの海外ルートで製造を依頼しても、工場や商社が裏で高額買取を約束した他の国の企業に売却しているという例もあります。
律儀に約束を守ることが多い日本では想像できないことが海外では当たり前のように行われているのです。
まとめ
ニトリル手袋の不足を考える時、コロナは急速に世界的な影響を与えたことがわかります。 このニトリル手袋の不足に対処するために、できるところでは代替製品の検討が必要です。
木村容器ではニトリル手袋以外にもEVA、PVC、TPEなど様々な種類の使い捨て手袋もご用意しております。
使い捨ての手袋をお探しの方は、一度木村容器までご相談ください。