もうそろそろ年末の足音が近づく季節になりました。1年、あっという間ですね。
お正月といえば、子供のころはお年玉がもらえる!と心待ちにしていましたが、大人になってあげる側になると、またこの時期が来たのか…とあの頃の瑞々しさはどこへやら。
月日は早いものです。
それはさておき、おせちをよくみてみると、飾りが色々あって華やかですよね。
おせちに限らず日本料理(和食)は料理から四季を感じられるように季節の食材や草花、季節に合う器を用いて美しく盛り付けられています。この季節感を演出する脇役が「あしらい」です。
お刺身のツマや焼き物に添えてある大根おろしなど、飾りの植物も含めた料理に添えるものを総称して「あしらい」といいます。
あしらいを使って季節感を出し、彩りをプラスして舌だけではなく、目でも楽しめるようにしています。
今回はハレの料理を華やかに演出する名脇役の、飾りや器についてお伝えします!
おせちとは
昔は3月3日、5月5日のような季節の変わり目の節句を祝う料理をおせちとよんでいましたが、現在ではごちそうの多い正月料理のことをおせちといいます。
台所で騒がしくないよう年神様にゆっくりと過ごしていただくため、毎日家事にいそがしい世のお母さんたちが料理をしなくてもいいように、と保存のきく料理がおせちに詰められています。
本来のおせち料理は、福が重なるという意味を持つ4段の重箱に詰め、5段目は福を詰める場所として空にしていたそうです。
地域によって詰める料理や作法、しきたりなどに違いがあり、現代では3段の重箱に詰めたおせちも増えています。
おせちに使われるお重とは
諸説ありますが、おせち料理をお重(重箱)に入れるようになったのは明治以降と言われています。
重箱はおせち以外にもお弁当箱やうな重の器として用いられています。
ちなみに、うな重とうな丼の違いは器の違いです。丼ぶりより重箱の方が大きいのでそれに見合うようにウナギのサイズも大きくなるので、うな重の方が値段が高く設定されています。
お重の大きさは寸で表記されます。1寸は約3cmです。下記お重の大きさと人数の目安になります。
お重は樹脂(プラスチック)製や木製、紙製などがあります。
おせち用の重箱の注文は夏ごろから始まり、受注生産品も多いため、検討される際はお早目にご連絡くださいませ。
- 4寸<約12cm>・一段~二段重 → 1人
- 5寸<約15cm>・一段~二段重 → 2人
- 6寸<約18cm>・三段重 → 3人~4人
- 6.5寸<約19.5cm>・三段重 → 3人~5人(一般的なサイズ)
- 7寸<約21cm>・三段重 → 4人~6人
- 7.5寸<約22cm>・三段重 → 5人~6人
- 8寸<約24cm>・三段重 → 5人~7人
- 8.5寸<約25.5cm>・三段重 → 6人~8人
お重の形は四角形だけではなく、六角形もあります。
おせちは様々な料理をお重に詰めていくので、お重のサイズに合わせたカップ(容器)を使うと見栄えよく盛り付けられます。
カップの形状は四角や三角形などあり、色も金や赤色などありますのでイメージに合わせて選べます。
素材も冷凍・電子レンジOKのものや、紙製のもあります。
また、竹やゆずなどの形をしたカップもありますので、アクセントとしても活用できます。
ただし、素材によっては電子レンジNGのものや冷凍対応ではないものがありますので、検討される際はしっかり確認してください。
彩りや季節感の演出に欠かせない飾り
日本料理の「あしらい」は料理を一層引き立たせるために添えるもので、単なる飾りだけではありません。料理に彩りを加え、季節感を演出し、目からも料理を楽しめる効果があります。
おせち料理の飾り・あしらいで、よく使われるものをまとめてみました。
裏白(うらじろ) | その名の通り、裏が白くなっているシダ植物の一種で、重箱に敷いて使うのが一般的。締め飾りや鏡餅にも使われます。 |
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南天 | 南天は『難を転じる』という意味から、縁起物としてお祝いの料理によく使われます。 |
万両 | 千両よりも大ぶりな赤い実が鈴なりにつき、豊作をイメージされることから、縁起物とされています。 |
千両 | 万両と同じく赤い実をつける。万両より小粒で数が少ないことから「千両」と呼ばれるようになった。 |
松葉 | 松竹梅の一つ、松の葉。縁起物としておせち料理に飾りとしてよく使われます。 |
たちかずら | ひかげかずらの一種でお寿司屋さんなどでも目にすることが多く、長い期間青々とした緑を保っています。ひかげかずらは神事にも用いられています。 |
この他にも小菊の花、木の芽と呼ばれる山椒の若葉など、色々な種類を使います。
料理だけよりも、添えた方がキレイで豪華な盛り付けになりますね。
近年おせちは冷凍や冷蔵で通信販売されることも多いので、今回ご紹介したものを造花で使うのもおすすめです。
ハラン?バラン?
おせちに限らず、日本料理の飾りに使われる葉っぱのことを、青掻敷(あおかいしき)と言います。
単純に掻敷(かいしき)と呼ぶこともあります。
料理に季節感をもたらして美しく盛ると同時に、料理同士の色移りや味移りを防ぐ役割があります。
刺身やお寿司などによく使われるのが葉蘭(はらん)です。葉蘭はユリ科の多年草植物で、1葉が約50cmと長いので、様々な用途に用いられます。
料理を盛り付けたり、包丁で飾り切りをして模様を作る「葉蘭切り」の材料にしたり、お弁当の仕切り代わりに使ったりします。
葉蘭はかなりサイズが大きいので、最近では熊笹がよく使われます。
プラスチックでできたお弁当の仕切りを「バラン」と呼ぶのは、葉蘭に由来するともいわれています。
他にもある!料理を華やかにする飾り
最近では洋風のおせちも増えています。洋風にもおすすめなのが、ピック(串)です。
飾りがついた串で、見た目も華やかになり、食べやすくなります。
子供のころお子様ランチに旗がついているのをみると、わくわくしました。子供だけではなく、旗や串が刺さっているとつい手に取ってしまいますね。
また、飾りもフレンチやイタリアンなど洋風にも使えそうなものもあるので、ぜひ活用してみてはいかがでしょうか。
祝箸について
祝い箸とは、お正月や祝いの席で使われる箸で、箸の真ん中が太く、両端が細くなっているのが特徴です。
これは箸の片方を人間が、もう一方を神様が使って一緒に正月のおせちをいただくという考えからきています。
また丸箸全体に角がないように加工されているので、家庭円満など縁起が良いとみなされています。
一般的に長さは八寸で、現在の長さで表記すると24cmです。これは末広がりの「八」は縁起が良い数字のためといわれています。
また、お正月の祝い箸は松の内(門松を飾っておく期間)の間、同じ箸を使うのが習わしです。
箸の種類についてはこちらをご覧ください。
まとめ
新しい年の一番最初に食べる特別な料理、おせち。最近ではおせちをすべて手作りするより購入する方が多くなっているようです。
おせちを購入する方法としては通信販売が多いという調査結果もあり、商品を選ぶ際の写真、見栄えはとても重要です。
一年に一度の特別な日には見た目も華やかで、美味しい料理をたべたいですよね。
華やかさを演出できる飾りにも様々な種類があるので、是非取り入れてみてはいかがでしょうか。