削減対象の12品目決まる
2021年3月に「プラスチック資源循環促進法」が成立してから、半年が過ぎました。
そして2021年8月に、事業者向けの具体策が公表され、プラスチック資源循環促進法に基づいて削減すべきプラスチック製品12品目が明らかになりました。
プラスチック資源循環促進法の施行は2022年4月と迫っているため、関係する小売店や飲食店、その他多くの事業者が対応を急いでいます。
では今回削減対象となった12品目とはどのようなもので、事業者にはどのような対策が求められているのでしょうか?
この記事ではこうした点を考察し、使い捨てプラスチック容器を多く使用されている、飲食店経営者の方々のお役に立つ情報を取り上げます。
プラスチック資源循環促進法とは
プラスチック資源循環促進法とは、2019年5月に策定された「プラスチック資源循環戦略」を推進するために定められた法律です。
プラスチック資源を循環させる目的は、地球温暖化の原因と考えられるCO2の削減です。
従来は回収後にゴミとして焼却処分されていたプラスチックや、埋め立て等により廃棄されてきたプラスチックを減らすことで、CO2の排出量を減らすことができます。
そのために、プラスチック製品の設計・製造から回収までの各段階で再資源化を促進する施策がまとめられたのです。
たくさんある施策の中でも早くから世間の注目を集めているのが、コンビニのスプーンなどの使い捨てプラスチック製品の削減です。
その使い捨てプラスチック製品の中から、今回削減対象に選ばれた製品は12品目となっています。
では、その中身について詳しく見ていきましょう。
プラスチック資源循環促進法について詳しくはプラスチック資源循環促進法で求められるエコとは?をご覧ください。
「特定プラスチック使用製品」とは?
特定プラスチック使用製品とは、「商品の販売又は役務の提供に付随して消費者に無償で提供されるプラスチック使用製品」のうち、指定された12品目のことです。
簡単に言うと、小売店や飲食店が消費者に無償で提供するプラスチック使用製品のことです。
今回削減対象として指定された12品目は、以下の通りです。
特定プラスチック使用製品提供事業者 | 業種 | 製品(12品目) |
---|---|---|
各種商品小売業、各種食料品小売業、その他の飲食料品小売業、無店舗小売業、飲食店 | 百貨店、スーパー、コンビニ、飲食店、通販事業 | 主としてプラスチック製のフォーク、スプーン、ナイフ、マドラー、ストロー |
宿泊業 | ホテル、旅館、簡易宿泊所など | ヘアブラシ、櫛、剃刀、シャワー用のキャップ、歯ブラシ |
洗濯業 | クリーニング店 | ハンガー、衣類用のカバー |
なぜこの12品目が選ばれたのか?
プラスチックゴミを削減することは重要と分かっていても、プラスチックはすでに私たちの生活の中に不可欠なものとなっています。
その、なくてはならないプラスチックをどこから削減するかは難しいところです。
その中で、今回上に挙げた12品目が特定プラスチック使用製品に指定されたのはなぜでしょうか?
今回選ばれた12品目は、いずれも削減しやすいため、取り組みを容易にしました。
環境省は、これらの12品目の使用を合理化することで、プラスチックゴミの排出抑制や過剰なプラスチック使用の抑制、代替素材への転換を促進するとしています。
また何より今回選ばれた12品目の多くは、木や紙、バイオマスなどの代替製品がすでに流通している製品です。
例えば、プラスチックスプーンやフォークなどのカトラリーはバイオマス製品が流通していますし、木製のカトラリーやマドラーも広まりつつあります。
クリーニング店のハンガーは、回収も、ワイヤーのハンガーでの代用も可能です。
ホテルのアメニティは、必要な人だけに有料で提供すれば合理的です。
このように、特定プラスチック使用製品の12品目は、「やりやすいところから」手を付けた結果選ばれたと言えます。
対象となる事業者と多量提供事業者
上記の表から分かる通り、特定プラスチック使用製品の提供事業者となるのは、百貨店、スーパー、コンビニ、飲食店、宿泊業、クリーニング業などがあります。
飲食店の中には配達飲食サービスも含まれるため、デリバリーやケータリングのみのお店も対象となります。
また、通販事業も無店舗小売業であるため、実店舗がなかったとしても対象となるので注意が必要です。
では、特定プラスチック使用製品の提供事業者には、具体的にどのような取り組みが求められているのでしょうか?
提供事業者に求められている対策とは?
特定プラスチック使用製品の提供事業者に求められている取り組みには、全部で7つあります。
提供方法に関するものが4つ、提供するプラスチック製品の工夫に関するものが3つとなっています。
この7つの中から、少なくとも1つ以上の対策を講じることが求められています。
下の表をご覧ください。
提供方法の工夫 | 提供する製品の工夫 |
---|---|
1.有料化 | 1.肉薄化、軽量化された製品の設計や提供、原材料の工夫 |
2.利用を辞退する消費者へのポイント還元等 | 2.商品やサービスに見合ったサイズの製品の提供 |
3.提供時に消費者の意思を確認する | 3.繰り返し使用が可能な製品の提供 |
4.繰り返し使用を促す |
具体的な内容はまだ不透明
今回求められている7つの取組については、まだ不透明な点が多くあります。
例えば、再生プラスチックやバイオマスプラスチック製品の使用は可能と予想されますが、バイオマスが何パーセント以上含まれていれば「再生可能資源」とみなされるのかは明示されていません。
出典:「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」の政省令・告示についてー経済産業省
2020年7月から始まった、レジ袋の有料化の際には「バイオマス25%以上の袋は無償提供できる」など、細かな取り決めがありました。
しかし今回の「特定プラスチック使用製品の使用の合理化」は、レジ袋の有料化と違って義務ではないので、基準が示されるかどうかも不確かです。
更に、代替素材としてはどんな素材が含まれるのか、受け取りを辞退した客への還元方法なども未だ不透明です。
このように不透明な部分がまだあるとはいえ、植物由来のバイオマスを一定量以上使用したバイオマスプラスチックのカトラリー、木製のカトラリーや竹製の歯ブラシは既に実用化されています。
これらは今後、代替品として認められる可能性が高い製品と言えます。
プラスチックの削減はすべての事業者に関係する
この記事の初めのほうで考えた通り、プラスチックを削減する目的は、地球温暖化の原因と考えられるCO2の削減です。
消費者のエコ意識が高まっている今、事業者がプラスチック削減に努めるなら、消費者は環境に優しい取り組みをする企業と評価するでしょう。
消費者の高評価は集客につながります。法律による義務付けの対象ではない事業者も、この点で努力するなら「信頼できる企業」という評価を得られるようになるでしょう。
ですから、プラスチック削減は、全ての事業者が取り組むべき課題と言えます。
まとめ
この記事では、プラスチック資源循環促進法の制定に伴い、提供事業者に求められている対策について考察しました。
プラスチック資源循環促進法の施行に向けて、エコ素材の需要はさらに高まっています。
木村容器では、そうした需要にお応えするため、エコ素材の紙コップ・各種カトラリー・バイオマスプラスチックを使用した食品包装容器を豊富に取り扱っています。
ご関心がある飲食店経営者の方々は、是非木村容器のパッケージコンシェルジュにご相談ください。貴店のニーズに合った商品をご提案させていただきます。