夏休みももうすぐ終わりが近づいてきました。
今年も暑い日が続き、外に出るだけですぐに汗が吹き出します。
暑いと食べたくなるのが、冷たいもの。そう、アイスやかき氷ですよね。
アイスコーヒーもいいですよね。
お店でアイスクリームやかき氷を食べるときに使うカップ。
プラスチックも多いですが、紙製もよく見かけます。
パッケージコンシェルジェとしては、紙コップの魅力について語りたい!
ということで、紙コップの誕生から、紙コップの命であるカーリングについてまとめていきたいと思います。
紙コップの誕生!
そもそも紙コップはどのように誕生したのでしょうか?
紙コップ発祥の地は、20世紀初頭のアメリカと言われています。
当時アメリカでは、長距離列車内で飲料水を飲む時、銅製カップが共同利用されていました。
この事が疫病伝染に関係しているとされ、その対策として、衛生的なワンウェイ紙コップが開発・使用されるようになりました。
日本における紙コップの歴史
日本において、紙コップが作られたのは、1930(昭和5)年、紙コップの原形とも言える
紙製アイスクリーム容器製造機が東洋製罐(※東罐興業の親会社)により開発されたのが黎明期と考えられています。
しかし、その後の戦時体制化アイスクリームはぜいたく品とされ、また原料も入手困難となったために、市販用アイスクリームの製造は次第に自然休止となりました。
生産が再開されたのは、戦後1949(昭和24)年になってからです。
日本で飲料用紙コップの生産が開始されたのは、1954(昭和29)年、当時のアメリカ進駐軍に紙コップを納品したのが始まりです。
その後、順次、劇場・野球場など国内市場にも出荷されるようになりました。
飲料用紙コップは、1964(昭和39)年の東京オリンピック、1970(昭和45)年の大阪万国博覧会といった、国を挙げての大イベントで採用されたことで、一般に普及していきました。
また、飲料用紙コップの普及で忘れてならないのは飲料自動販売機や外食産業です。
自動販売機は、1958年(昭和33)年、星崎電気株式会社によって開発されました。
当時の自動販売機は、紙コップを手で抜き取り、ボタンを押してジュースが出る形式でした。
1971(昭和46)年には、マクドナルド1号店が、銀座三越にオープンし話題になりました。
昭和40~50年代に自動販売機マーケットやファストフードが成長期を迎えるとともに、飲料用紙コップの市場も急激に拡大していきました。
紙コップができるまで
1.ラミネート加工
熱で溶かしたポリエチレンフィルムを原紙に薄く貼り付けます。
2.印刷
紙コップの柄を印刷します。
上の画像のストライプ、球場などで見たことある方もいるのでは…?
3.ブランク打抜き
紙コップの胴体部分を扇形に打抜きます。
4.胴部巻き付け接着
ガスバーナーで温めてブランクの端のポリエチレンフィルムを溶かし、金型に巻き付け、両端を圧着します。
5.底仕上げ
ブランクの下端を折り込み、円形の型を回転させ圧着します。
6.カーリング
ツールを回転させながら、外側に巻きます。
このカーリングが紙コップの命とも言えます。
暇なときにコップのカールを伸ばして、飲料を入れてみてください。
コップがふにゃふにゃして、とても持ちづらいと思います。
カールによって、紙コップの強度が保たれているのです。
日本の紙コップは世界に誇れる品質!
先述した日本の紙コップの歴史でも書きましたが、
紙コップが広まったのは「飲料自動販売機」が大きく関係しています。
紙コップが自販機の中にどう入っているかご存じですか?
自販機の種類にもよりますが、カップディスペンサーが10本ほど円形に並んでいてそれぞれ100個ほどコップを入れられるようになっています。
コップはディスペンサーにあるツメによって支えられているため、コップのカール(紙コップの飲み口)に強度がないと、うまく出てこなくてなってしまいます。
出てこないと人手が必要なうえ、飲料だけジャバジャバでてくることになってしまうので自販機の普及とともに、紙コップの改良が求められました。
そうした背景もあり、日本の紙コップは海外製品に比べると高い品質になっています。
一番差が出るのが、カーリングの技術です。日本メーカーと海外メーカーの紙コップを比べてみましょう。
紙コップのカール比較
弊社が販売代行店になっている東罐興業の紙コップと海外製品を比較してみました。
上の写真は紙コップを縦に切った、飲み口の断面になります。
左のコップは先端までしっかり巻かれているのに対し、右のコップは巻きが緩くなっています。
カールがしっかりしているということは、
たくさん飲料を入れて重くなった紙コップを強く握った時に変形しにくい、つまり強度があり、安定して持てる。
ということです。
今お使いの紙コップの飲み口(カール)はどうですか?
この、カーリング技術によって、自販機の普及を陰で支えたといっても過言ではありません。
海外では防犯面もあり、自販機は日本ほど普及していません。
自販機が広く普及している日本だからこそ、改良を重ねた日本の紙コップは世界へ誇れる品質となりました。
自販機で紙コップを使用できるようになった背景には、紙コップメーカーの努力があったのです!